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機械式時計はやめとけ?後悔しないための全知識と選び方

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こんにちは。毎月200本以上の腕時計をマッチングしているCHRONOBLE 運営者の「NAOYA」です。

機械式時計に憧れはあるけれど、いざ購入を考えると「本当に大丈夫かな?」と不安になりますよね。私も最初はそうでした。

機械式時計はやめとけと言われる理由や、具体的なデメリットが気になっていませんか? 例えば、精度が時代遅れじゃないか、クォーツやスマートウォッチと比較してどうなのか、といった点です。

また、維持費やオーバーホールにかかる費用、寿命はどれくらいなのか、という現実的な問題も大きいですよね。買ってからこんなはずじゃなかったという後悔パターンは避けたいものです。

めんどくさいから週末だけ使いたいけど、それでも大丈夫?という疑問や、初心者向けの選び方、おすすめの国産モデルがあるかも知りたいかと思います。

この記事では、そんな機械式時計の魅力と、現実的な問題点の両方に切り込み、あなたが本当に向いてる人なのか向いていない人なのかを判断するお手伝いをさせていただきます。

後悔のない一本を見つけるために、ぜひ最後までお付き合いください。

この記事のポイント!
  • 機械式時計がやめとけと言われる具体的な理由
  • クォーツやスマートウォッチとの決定的な違い
  • 高額な維持費(オーバーホール)の現実的な目安
  • 後悔しないための選び方と、あなたに合うかの判断基準
この記事のポイント!
  • 機械式時計がやめとけと言われる具体的な理由
  • クォーツやスマートウォッチとの決定的な違い
  • 高額な維持費(オーバーホール)の現実的な目安
  • 後悔しないための選び方と、あなたに合うかの判断基準
目次

機械式時計はやめとけ? 5つの理由

機械式時計はやめとけ? 5つの理由

機械式時計に憧れを持つ一方で、「機械式時計はやめとけ」というネガティブな声を耳にして、一歩踏出せない方も多いのではないでしょうか。

なぜ、機械式腕時計をやめとけと言われてしまうのか。まずは、その背景にある具体的な理由、つまり機械式時計が持つ非合理性について、一緒に見ていきましょう。

これを知っておくだけでも、購入後のこんなはずじゃなかったを防げますよ。

やめとけと言われる理由

やめとけと言われる理由

機械式時計がやめとけと言われる最大の理由は、現代の道具として見たときに、非常に手間がかかり、非合理的だと考えられているからです。

私たちは、スマートフォンやクォーツ時計によって、時間がほぼ狂わないという非常に便利な生活に慣れています。時間を確認するだけなら、スマホで十分ですし、正確さだけを求めるなら安価なクォーツ時計が圧勝です。

その感覚からすると、機械式時計は「なぜわざわざそんな不便なものを?」と思われてしまう側面があるんですね。具体的には、この後でご紹介する精度の問題、手間の問題、脆弱性、そして高額な維持費などが、ネガティブなイメージの正体です。

機械式時計のデメリットを徹底解剖

機械式時計のデメリットを徹底解剖

機械式時計は、数百もの小さな部品が組み合わさって動く、とてもデリケートな精密機械です。そこが最大の魅力でもあるのですが、同時に大きなデメリット、つまり脆弱性にもつながっています。

特に気をつけたいのが、以下の2点です。これらは日常生活に潜む、大きなリスクと言えます。

1. 衝撃

時計を落としたり、ドアノブに強くぶつけたりする物理的な衝撃には非常に弱いです。

内部では、髪の毛より細いひげゼンマイや、高速で振動するテンプといった精密な部品が、絶妙なバランスで動いています。強い衝撃が加わると、これらの部品が変形したり、軸がずれたりして、時計の停止や深刻な精度の狂いを引き起こす原因になります。

スポーツ(特にゴルフやテニスなど、インパクトの衝撃があるもの)をする際に着けたままなのは、絶対に避けた方が良いです。

2. 磁気

これが現代人にとって、一番の見えない敵かもしれません。機械式時計の故障原因として、実は非常に多いんです。

スマートフォン、パソコン、タブレット、テレビ、スピーカー、バッグの留め金(マグネット式)、IHクッキングヒーターなど、私たちの身の回りには強い磁気を発するものが溢れています。

機械式時計がこれらの磁気を浴びると、磁気帯びという状態になります。これは、内部の部品(特に精度の心臓部であるひげゼンマイ)が磁化してしまう現象です。ひげゼンマイが磁化すると、部品同士がくっついたり反発したりして、正確なリズムを刻めなくなります。

結果として、1日に数分、ひどい時には数十分も時間がズレるなど、突然深刻な精度不良が起こるんです。「何もしていないのに、急に時間が狂い出した」という場合は、まずこの磁気帯びを疑うべきですね。

豆知識:磁気帯びは故障ではない?

もし磁気帯びしてしまっても、慌てないでください。これは厳密には部品が壊れた故障ではなく、治療可能な状態異常のようなものです。

磁気抜き(脱磁)という専用の機械を使って磁化を取り除くことで、多くの場合、元の精度に戻すことができます。

時計修理店などで比較的安価に(あるいは無料で)対応してもらえることも多いので、まずは相談してみてくださいね。最近はご自身で使える簡易的な脱磁器も販売されています。

精度は時代遅れ?致命的な懸念

精度は時代遅れ?致命的な懸念

時計としての最も基本的な機能は、時間を正確に示すことですよね。この精度の面で、機械式時計はクォーツ時計に絶望的な差をつけられています。

例えば、高性能なクォーツ時計(グランドセイコーの9Fクォーツなどが有名ですね)は、1年間で±10秒といった驚異的な精度を誇ります。1ヶ月使っても、1秒ズレるかどうか、というレベルです。

一方、機械式時計は、どれだけ優れたものでも1日で数秒の誤差(これを日差と呼びます)が必ず発生します。スイスの公的な精度認定であるクロノメーターを取得した非常に優秀なモデルでさえ、その許容基準は日差(1日の誤差)が 4秒から6秒の範囲内です。(出典:COSC公式サイト

つまり、最高の機械式時計でも、理論上はわずか2日程度で、高性能クォーツの1年分の誤差を超える可能性があるわけです。

仮に日差6秒だとすると、1ヶ月(30日)で 180秒、つまり3分も進んでしまう計算になります。この毎日数秒ズレる、定期的に時刻を合わせ直す必要があるという事実が、時計として時代遅れだ、面倒だと感じさせてしまう、最も根本的な懸念点なんです。

クォーツやスマートウォッチとの比較

クォーツやスマートウォッチとの比較

では、利便性の高いクォーツやスマートウォッチと比較した場合、機械式時計の立ち位置はどうなるのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットを一覧表にしてみました。

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機械式時計クォーツ時計スマートウォッチ
動力ゼンマイ(手巻き/自動巻き)電池充電
精度△(日差 数秒~数十秒)◎(月差/年差)◎(自動補正)
手間多い(時刻合わせ、巻き上げ)ほぼ無い(数年の電池交換のみ)多い(毎日の充電)
維持費高額(オーバーホール)安価(電池交換)ほぼ無い(本体寿命による)
寿命長い(メンテ次第で数十年)比較的短い(電子回路の寿命)短い(バッテリー寿命=本体寿命)
魅力芸術性、メカニズム、歴史、資産性実用性、価格、正確性利便性、多機能、健康管理

こうして比較すると、機械式時計は精度が悪く、手間がかかり、維持費も高いという、実用面でのデメリットが際立って見えますね。

時間を正確に知りたい、手間をかけたくない、という合理的なニーズだけで言えば、クォーツやスマートウォッチを選ぶのが賢明だと言えるでしょう。

ただし、スマートウォッチは毎日の充電という、機械式とは違った手間がありますし、バッテリーの劣化と共に数年で買い替えが前提となります。クォーツも電子回路の寿命が約10年程度と言われており、修理が難しくなる場合があります。

一方で、機械式時計は適切にメンテナンスすれば、一生、あるいは次の世代まで使えるという、他にはない寿命の長さを持っている点が最大の違いです。

購入者の後悔パターン3選

購入者の後悔パターン3選

私がユーザーからお話を伺う中で、高額な機械式時計を購入した後に「こんなはずでは…」と後悔してしまう、よくあるパターンが3つあります。これは本当に避けたいポイントです。

1. 期待したステータスが得られなかった

高級時計といえばロレックスのような、一目でそれと分かる華やかさや、周囲から「おっ」と思われるようなステータスシンボルとしての役割を期待して購入されるケースです。

例えば、グランドセイコー。これは非常に品質が高く、仕上げも美しく、本当に素晴らしい時計です。ですが、その魅力は控えめなデザインや、分かる人には分かる、実用性の高さにあります。

ロレックス的な派手さや分かりやすさを期待して選ぶと、思ったより地味だった、誰も気づいてくれないといった心理的なギャップ(後悔)が生まれやすいんです。

(グランドセイコーで後悔するパターンについては、グランドセイコーを買って後悔しないための選び方ガイド!【必見】の記事でも詳しく触れていますので、よろしければご覧ください。)

2. 予想以上の維持費に驚いた

これは次のセクションで詳しくお話ししますが、数年に一度のオーバーホール(分解掃除)の費用を知らずに、あるいは甘く見て購入してしまうパターンです。

特に、中古品や並行輸入品を安く手に入れたは良いものの、いざメンテナンスの時期が来て正規店に見積もりを出したら、購入金額の半分近い修理費を提示されて真っ青になる…

というのは、残念ながら少なくありません。見積もりを見て、そんなにかかるとは思わなかったと後悔されるケースは、本当に多いんですよ。

並行輸入品は購入時は通常より安くお買い得感はありますが、トータルコストは…こちらの記事で詳しく紹介してます。

3. 思ったより重い・厚い

特に初心者が手巻きは面倒だからと選びがちな自動巻きの時計。これは腕の動きでゼンマイを巻くローターという部品が入っている分、どうしてもムーブメント(機械)が厚くなり、結果として時計全体が厚く、重くなる傾向があります。

店頭でのわずかな時間の試着だけでは気づかず、日常使いする中でワイシャツの袖口に収まらない、一日着けていると重さがストレスと感じて、結局着けなくなってしまうパターンです。

逆に、薄さを求めて手巻きを選ぶと、毎日巻くという手間や巻き忘れで止まるストレスと向き合うことになります。どちらも一長一短があります。

めんどくさい?週末だけの使用はアリか

めんどくさい?週末だけの使用はアリか

毎日ゼンマイを巻くのはめんどくさい

平日はスマートウォッチを使いたいから、週末だけ使いたい

という方も多いかと思います。素晴らしい使い方だと思いますよ!結論から言うと、週末だけの使用は全く問題ありません

機械式時計は、使わずに止まっていても壊れることはありません。むしろ、車と同じで、使わない間は部品が摩耗しないので、ある意味では合理的とも言えます。時計も休息させてあげるイメージですね。

使う日の朝、止まっている時計のリューズを優しく巻き、時刻を合わせる。その儀式こそが、機械式時計の醍醐味だと言う愛好家の方も多いです。

注意:ワインディングマシーンは必要か

止まるのが嫌だからと、自動巻き時計を動かし続けるワインディングマシーンの購入を検討される方もいます。ですが、私はあまりおすすめしません。

  • 部品の消耗:常に動かし続けることは、部品を常に消耗させ続けることです。車のエンジンをかけっぱなしにするのと同じで、オーバーホールの時期を早める可能性があります。
  • 磁気帯びのリスク:これが一番怖いのですが、安価なマシーンや設計が古いマシーンだと、駆動させるモーターから発生する磁気で、中に入れた大事な時計が磁気帯びしてしまう危険性があります。
  • 過度な負荷:常にゼンマイが巻き上げられた状態が続くと、ゼンマイ自体に負荷がかかるという意見もあります。

止まったら、その都度リューズを巻いて時刻を合わせる。その手間自体を楽しむのが、機械式時計との良い付き合い方だと私は思います。

自動巻き時計の正しい保管方法についてはこちらの記事が役立ちます。

機械式時計はやめとけという声の現実

機械式時計はやめとけという声の現実

ここまでやめとけと言われる理由、つまりデメリットやリスクを中心にお話ししてきました。

ですが、それらの現実を正しく理解し、対策を知っていれば、機械式時計はやめておくにはもったいない、素晴らしい魅力を持ったアイテムです。

ここからは、その現実的な側面と、手間を超えるほどの魅力について、さらに深掘りしていきます。

高額な維持費とオーバーホールの実態

高額な維持費とオーバーホールの実態

やめとけと言われる最大の理由であり、購入後に最も後悔しやすいポイントが、この維持費(オーバーホール)です。

機械式時計は、内部で常に歯車が噛み合い、摩擦が発生しています。その摩擦を減らすために潤滑油が使われていますが、この油が3~5年ほどで劣化したり、乾いたり、あるいはホコリと混じって汚れたりします。

油が切れた状態で使い続けると、部品同士が直接擦れ合って摩耗し、精度が悪化し、最終的には動なくなってしまいます。これを防ぐため、定期的に時計を分解・洗浄・注油・再組立・精度調整する作業、それがオーバーホールです。これは車でいう車検のようなもので、必須のメンテナンスなんです。

気になる費用ですが、これはどこに依頼するかで大きく変わります。依頼先は大きく分けて2つ。メーカー(正規)か、それ以外の修理業者(民間)か、です。

正規メーカーサポート

  • メリット:絶対的な安心感。純正部品の使用。メーカーによる作業保証(通常2年など)。複雑なモデル(スプリングドライブなど)も対応可能。
  • デメリット:費用が最も高額になる。納期が長い(数ヶ月かかることも)。

民間(非正規)の時計修理業者

  • メリット:正規と比べて費用が安い(半額~7割程度になることも)。納期が比較的早い。
  • デメリット:技術レベルにバラつきがある(優良店を見極める必要がある)。純正部品が手に入らない場合がある。防水検査などの設備が不十分な場合がある。

どちらが良いかは一概に言えませんが、特にグランドセイコー独自の「スプリングドライブ」や、オメガの「コーアクシャル」など、特殊な機構を持つモデルは、民間では修理が難しく、実質的に正規メーカー一択となるケースが多い点も注意が必要です。

参考までに、主要ブランドの正規オーバーホール基本料金の目安をまとめてみました。

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ブランドモデル(例)正規オーバーホール料金(目安)
ロレックス3針(デイトジャストなど)約 5万円 ~ 8万円
クロノグラフ(デイトナ)約 8万円 ~
オメガ3針(シーマスターなど)約 6万円 ~ 9万円
クロノグラフ(スピードマスター)約 9万円 ~
グランドセイコークオーツ(9F)約 5万円 ~
メカニカル(9S)約 7.5万円 ~
スプリングドライブ(9R)約 7.5万円 ~
タグ・ホイヤー3針(カレラなど)約 4.5万円 ~
クロノグラフ約 6万円 ~
※上記はあくまで3針モデルなどの基本料金の目安です。クロノグラフや複雑機構のモデルは、これより高額になります。
※また、これは基本料金です。内部の部品が摩耗・破損していて部品交換が必要な場合は、別途数万円の追加費用がかかります。

ご覧の通り、グランドセイコーのメカニカルやスプリングドライブの正規オーバーホールは、ロレックスの基本料金よりも高額になるケースがあります。この数年ごとに数万円の出費を、愛機のための投資として許容できるかどうかが、購入後の満足度を左右する最大の分岐点ですね。

機械式時計の寿命はどれくらい?

機械式時計の寿命はどれくらい?

維持費がかかるなら、寿命はどれくらいなの?

クォーツ時計は、電子回路の寿命(一般的に約10年~)が来たら、修理が難しくなり、事実上の寿命を迎えることが多いです。スマートウォッチは、バッテリーの寿命(2~3年)が本体の寿命とほぼイコールですよね。

一方、機械式時計は、定期的にオーバーホールさえしていれば、数十年単位で使い続けることができます。

部品が摩耗しても、交換部品がある限りは修理が可能です。親から子へ、子から孫へと受け継いでいけるのは、機械式時計ならではの大きな魅力です。そのための維持費とも言えますね。

注意点:部品の保有期間

ただし、注意点もあります。それはメーカーの部品保有期間です。あまりに古いモデルになると、メーカーが交換用の部品(文字盤、針、歯車など)の製造を終了してしまい、修理(特に正規修理)ができなくなる場合があります。

とはいえ、これは数十年前のアンティークやヴィンテージの話が中心ですので、現行品や近年のモデルであれば、あまり心配しすぎる必要はありません。

手間を超える機械式時計の魅力

手間を超える機械式時計の魅力

ここまで散々手間だ、非合理的だ、お金がかかるとお伝えしてきましたが(笑)、それでも私を含め、多くの人々が機械式時計に惹かれ続けるのは、その手間や非合理性を補って余りある、唯一無二の魅力があるからです。

メカニズムの芸術性

これが最大の魅力かもしれません。電池や電子回路に一切頼らず、ゼンマイがほどける力だけを動力源にして、数百もの小さな歯車やレバーが精密に連動して時を刻む。まさに小さな宇宙、腕に着ける芸術品です。

シースルーバック(裏蓋がガラスになっているモデル)から見える、心臓部であるテンプが高速で振動する姿や、美しく磨き上げられた歯車、受け石として使われるルビーの輝きは、いくら見ていても飽きません。工業製品でありながら、工芸品でもある。それが機械式時計です。

管理人

大人版ピタゴラスイッチですね。

五感への訴え

機械式時計は、私たちの五感に直接訴えかけてきます。

  • 聴覚:耳を澄ますと聞こえる、規則正しいチクタクという鼓動(作動音)。これはクォーツ時計では決して聞けない、機械が生きている証です。
  • 視覚:クォーツが1秒ごとにカクカクと動くのとは違う、滑らかに文字盤の上を流れる秒針(スイープ運針)。この時の流れを可視化したような動きに、癒しを感じる方も多いです。
  • 触覚:手巻き式時計のリューズを指で巻く時の、カリカリという小気味良い感触と音。ゼンマイが巻き上がっていく手応えは、時計と対話しているような、非常にアナログで愛おしい瞬間です。

歴史とストーリー

多くの時計ブランドには、何十年、あるいは何百年という長い歴史があります。その一本一本に、職人の技術や情熱、そしてブランドのフィロソフィーが詰まっています。

このブランドは昔、こんな困難を乗り越えて…、このモデルは、月に行った宇宙飛行士が着けていた…といった背景にあるストーリーを知ることで、時計への愛着は一層深まります。

また、自分が生まれた年(バースイヤー)のヴィンテージ時計を探したり、人生の節目(結婚、昇進、子供の誕生)の記念として手に入れたりすることで、その時計はあなただけのストーリーを持つ、かけがえのない相棒になっていくことでしょう。

初心者のための後悔しない選び方

初心者のための後悔しない選び方

もし、これらのデメリットを受け入れた上で「やっぱり挑戦してみたい!」と思われたなら、初心者の方が後悔しないための選び方のポイントを3つお伝えします。

この3つを意識するだけで、失敗の確率はぐっと下がります。

1. まずは実物を見ること

写真やネットの情報だけで判断するのは禁物です。購入者の後悔パターンでご紹介したように、思ったより地味、思ったより重い・厚いというギャップは、実物を見ないと絶対に分かりません。

面倒くさがらずに、必ず店頭で試着してください。その際、重さ、厚み、腕に着けた時の装着感、そしてご自身の普段の服装とのバランスを、じっくり確認することが大切です。

一目惚れも大事ですが、一度冷静になって、日常使いするイメージが湧くかどうかを確かめてみてください。

2. 維持費(オーバーホール代)を把握すること

デザインが気に入っても、即決しないでください。その時計の正規オーバーホール費用がいくらかかるか、必ず店員さんに確認するか、ご自身で調べておきましょう。

こんなはずじゃなかったという後悔を避けるために、時計本体の購入予算だけでなく、数年後に必ず発生する維持予算も確保しておくことが、機械式時計と長く付き合う上で非常に重要です。

3. なぜ欲しいのかを明確にすること

あなたが時計に求めているものは何でしょうか? ここの軸がブレていると、購入後に「何か違う…」となりがちです。

  • ステータスが欲しいなら、ロレックスやオメガなど、分かりやすい人気ブランドを選ぶのが近道かもしれません。
  • メカの面白さに惹かれるなら、シースルーバックで手巻きのモデルが良いでしょう。
  • 実用性も重視したいなら、精度が高くメンテナンスサイクルの長いモデル(例:オメガのコーアクシャル)や、タフなダイバーズウォッチが良いかもしれません。
  • デザインが最優先なら、周りの評価は気にせず、ご自身が一番ビビッと来たものを選ぶべきです。

ご自身の軸をはっきりさせることが、後悔しない最高の一本と出会うための、一番の近道ですよ。

おすすめの国産モデルを紹介

おすすめの国産モデルを紹介

いきなり何十万円もする海外の高級ブランドはハードルが高い…という方には、品質が非常に高く、コストパフォーマンスにも優れたおすすめの国産モデルから入るのも、とても賢い選択だと思います。

セイコー 5スポーツ (Seiko 5 Sports)

セイコー5は、特に初めての機械式時計として、私がいちばんおすすめしたいシリーズの一つです。手頃な価格帯(多くが3万円~5万円台)でありながら、

  • 自動巻き
  • 防水性
  • 日付・曜日表示(デイデイト)

といった、機械式時計の基本的な魅力と実用性をしっかり押さえています。何よりデザインのバリエーションが非常に豊富なので、きっとお気に入りの一本が見つかるはずです。

まずはこのあたりで機械式時計の楽しさや、日差を調整する手間を実際に体験してみる、というのはいかがでしょうか。

グランドセイコー (Grand Seiko) の機械式モデル

やめとけの理由でも登場しましたが、その品質、仕上げの美しさ(特にザラツ研磨と呼ばれる歪みのない鏡面仕上げ)は、間違いなく世界トップクラスです。

海外の高級ブランドに引けを取らない、むしろ凌駕するほどのクオリティを、比較的(あくまで”比較的”ですが)抑えた価格で実現しているのは、本当にすごいことだと思います。最高の普通、実用時計の最高峰を求める方には、これ以上ない選択肢です。

ただし、繰り返しになりますが、維持費(正規オーバーホール代)は9Sメカニカルで約7.5万円~と、高額になる傾向があることは、購入前に必ず理解しておいてください。

グランドセイコーの評判が気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。)

向いてる人と向いていない人の特徴

向いてる人と向いていない人の特徴

ここまでのお話をまとめると、機械式時計に向いてる人と向いていない人の特徴が、かなりはっきりと見えてきます。ご自身がどちらに当てはまるか、チェックしてみてください。

【向いていない人】(やめておくべき人)

  • 時計に1秒の狂いも許せない完璧な精度(年差レベル)を求める人。
  • 数年ごとに発生する数万円のメンテナンス費用を、高すぎる、無駄な出費としか思えない人。
  • 磁気に気を遣ったり、止まったら時刻を合わせたりする手間を、面倒、ストレスとしか感じられない人。
  • 時計を投資対象として考えており、ロレックスの一部人気モデル以外を購入して資産価値の上昇を期待している人。(ほとんどの時計は、購入した瞬間に価値が下がる消費財です)

【向いてる人】(ぜひ選ぶべき人)

  • 時計を単なる時間を知る道具としてだけでなく、工芸品、芸術品として楽しめる人。
  • 歯車の動く音や、滑らかな秒針の動き、リューズを巻く感触といったアナログな魅力に心惹かれる人。
  • オーバーホールを修理費ではなく、愛機を長く(時には子や孫の代まで)使い続けるための必要な投資(メンテナンス)として許容できる人。
  • デジタルにはない非合理的な手間そのものを、愛着や儀式として楽しめる人。

機械式時計はやめとけ、は本当か:まとめ

機械式時計はやめとけ、は本当か:まとめ

さて、長々とお話ししてきましたが、いよいよ結論です。

機械式時計はやめとけというアドバイスは、時計に合理性、利便性、コスパだけを求める人にとっては、紛れもない真実です。

精度はクォーツに完敗していますし、衝撃や磁気に弱く、手間がかかり、維持費も高額です。これらの揺るぎないデメリットを許容できないのであれば、無理して高額な機械式時計を購入するのはやめておくのが、ご自身のためにも賢明な判断だと、私も思います。

ですが、もしあなたが、

その非合理的な手間を愛着と感じ、電池では動かない小さな機械の中で、時が懸命に刻まれるロマンに心惹かれ、メンテナンスをしながら長く使い続けるという価値観に共感するのであれば…

「やめとけ」という声は、もう気にする必要はありません。

機械式時計は、時間を知るための道具であると同時に、あなたの人生に寄り添い、共に時を刻む相棒のような存在になり得ます。

この記事が、あなたが後悔するのではなく、素晴らしい相棒と出会うための一助となれば、私にとってこれ以上嬉しいことはありません。



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