日本の誇る高級時計、グランドセイコー。その購入を考えるとき、「資産価値」は無視できない重要な判断基準になります。一方で、インターネット上では「やめとけ」といった声や、着けてる人に対して「嫌味」に見えるのではという懸念、さらには近年の「値上げしすぎ」との評判も目にします。
この記事では、そうした様々な声を踏まえつつ、グランドセイコーの本当の価値を探ります。
人気モデルのリセールランキングや最新のリセール率を参考に、資産価値が将来的に上がるか下がらないかの可能性を徹底的に考察。
不動の人気を誇る白樺モデル、ブランド独自の機構であるスプリングドライブや高精度なクォーツを搭載したモデル、そして入手困難な希少モデルまで、その価値と魅力を多角的に解説します。
- グランドセイコーの資産価値に関する様々な評判の真相
- 資産価値が落ちにくい人気モデルの具体的な特徴
- 最新のリセール率や価格ランキングの動向
- 購入後に後悔しないためのブランドの全体像
グランドセイコーの資産価値は本当?噂と実態を徹底解剖
値上げしすぎ?近年の価格改定
近年、グランドセイコーが相次いで価格改定を実施していることから、「値上げしすぎではないか」という声が聞かれます。確かに、2021年、2023年、そして2024年と定価が引き上げられており、購入を検討している方にとっては気になる動きかもしれません。
2025年2月25日受付分からは、修理料金の値上げも実施され、モデルによっては8,800円の値上げとなるものもありますさらに2025年4月からはオプションストラップの値上げも実施されています。
この価格改定の背景には、複合的な理由が存在します。
ブランドの世界的な価値向上戦略
一つは、ブランドの世界的な価値向上戦略です。2017年にセイコーから独立して以来、グランドセイコーはスイスの高級時計ブランドと肩を並べるグローバル・ラグジュアリーブランドとしての地位確立を明確に目指しています。
その一環として、量販店での大幅な値引き販売を停止し、適正価格でブランドイメージを維持・向上させる戦略をとっているのです。
世界的な原材料費や人件費の高騰
もう一つの理由は、世界的な原材料費や人件費の高騰、そして円安といった経済的な要因です。高品質な時計製造に不可欠な金属などのコストが上昇しており、それが製品価格に反映されるのは避けられない側面もあります。
これらの点を踏まえると、一連の価格改定は単なる値上げではなく、ブランドの価値を長期的に高め、ひいては所有者の時計の資産価値を守るための戦略的な動きと捉えることができます。
資産価値は上がる?下がらない?
グランドセイコーの資産価値について、「将来的に価値が上がるのか、それとも下がらないのか」という点は、購入を検討している方にとって最大の関心事の一つです。
この問いに答えるためには、「資産価値」という言葉が持つ二つの側面、つまり「投機的な値上がり」と「価値の維持」を分けて考える必要があります。
短期的な投機対象としての側面
まず、ロレックスのデイトナやGMTマスターIIといった特定のモデルに見られるような、購入価格から数倍に跳ね上がるほどの短期的な値上がりは、現在のグランドセイコーでは期待しにくいのが実情です。
その背景には、グランドセイコーが「実用時計の最高峰」という哲学を掲げ、投機的な過熱を煽るのではなく、真に時計を求める人へ安定的に製品を届けようとするブランド姿勢があります。
限定モデルを除けば、極端な品薄状態が続くことは稀で、投機マネーが集中しにくい市場構造となっているのです。
このため、短期的な売買で利益を得ることを主な目的とする場合、グランドセイコーは最適な選択肢とは言えないかもしれません。
長期的な価値維持と安定性
一方で、長期的な視点で見ると、グランドセイコーの資産価値は非常に安定的で、「価値が下がりにくい」という大きな強みを持っています。
これは、以下の複数の要因に支えられています。
卓越した品質と耐久性
グランドセイコーの時計は、数十年単位での使用を前提とした堅牢な作りが特徴です。高精度のムーブメントはもちろん、ザラツ研磨によって歪みなく磨き上げられた外装は、傷がつきにくく、長く美しい状態を保ちます。
この確かな品質が、中古市場においても「信頼できる製品」としての評価を確立し、価値を担保する根幹となっています。
世界的な評価の向上とブランド戦略
前述の通り、2017年のセイコーからの独立は、ブランドにとって大きな転換点でした。以降、グランドセイコーはグローバル市場、特に北米での評価を飛躍的に高めています。
世界的な時計賞である「GPHG」での受賞歴も、その品質が世界水準であることを客観的に証明しました。メーカー自らがブランド価値を高めるための価格戦略やブティック展開を積極的に行っており、これが中古市場での価格を安定させる要因となっています。
安定した中古市場の存在
グランドセイコーのオーナーの多くは、投機目的ではなく、時計そのものの魅力を理解して購入する愛好家です。このような実需に支えられた中古市場は、価格が乱高下しにくく、安定しています。インバウンド需要の回復なども、今後の市場を下支えする要素として考えられます。
これらの点を踏まえると、グランドセイコーの資産価値は、急激に「上がる」ことを期待する投機的な資産というより、長年にわたって価値が大きく「下がらない」、堅実な資産としての性格が強いと言えます。
良いものを長く愛用しながら、結果としてその価値も維持されるという、賢明な選択肢と考えるのが最も的確な理解でしょう。
リセールランキングとリセール率
グランドセイコーの資産価値を客観的に判断する上で、最も分かりやすい指標の一つが「リセール率」です。リセール率とは、購入時の価格に対して、売却時にどの程度の価格が付くかを示す割合のことで、この数値が高いほど「価値が落ちにくい」=「資産価値が高い」と評価できます。
グランドセイコーの全体的なリセール率は、モデルや状態によって変動しますが、概ね定価の4割から6割程度で推移することが多いです。これは他の多くの高級時計ブランドと比較しても、決して低い水準ではありません。
しかし、その中でも一部のモデルは、この平均値を大きく上回り、時には定価を超える驚異的なリセール率を記録することがあります。ここでは、特に高いリセール率を誇るモデルをランキング形式でご紹介し、その背景を分析します。
グランドセイコー リセール率ランキング
以下の表は、特に市場で高い評価を受けているモデルのリセール率の目安をまとめたものです。
順位 | モデル名(通称など) | 型番 | 定価(参考) | リセール率(目安) |
1 | 銀座限定2022モデル | SBGH297 | 770,000円 | 約155% ~ 194% |
2 | 初代GS復刻 | SBGW253 | 648,000円 | 約145% ~ 152% |
3 | AJHH特別限定モデル | SLGA017 | 1,089,000円 | 約120% ~ 130% |
4 | 60周年記念モデル | SBGP007 | 440,000円 | 約74% ~ 85% |
5 | ホワイトバーチ(白樺) | SLGH005 | 1,210,000円 | 約76% ~ 90% |
6 | スノーフレーク(雪白) | SBGA211 | 814,000円 | 約68% ~ 84% |
※上記のリセール率は2025年現在の市場状況に基づく目安であり、将来の価格を保証するものではありません。また、時計のコンディション、付属品(箱、保証書など)の有無によって価格は大きく変動します。
高いリセール率を誇るモデルの共通点
このランキングからも分かるように、100%を超えるリセール率を叩き出すモデルには、明確な共通点が存在します。
定番モデルが持つ安定した価値
一方で、ランキング下位の「ホワイトバーチ」や「スノーフレーク」は限定品ではありません。それにもかかわらず、70%~90%という非常に高いリセール率を維持している点は注目に値します。
これは、これらのモデルが現代グランドセイコーの「顔」として広く認知され、普遍的な人気と需要に支えられていることを意味します。限定品のような爆発力はなくとも、安定して高い資産価値を保ち続ける、いわば優良株のような存在です。
これらの事実から、グランドセイコーの資産価値は、どのモデルを選ぶかによって大きく変わることが明確になります。希少性を追い求めるか、普遍的な価値を持つ定番を選ぶか、自身の時計に対する価値観と照らし合わせて検討することが肝要です。
注目度の高い人気ランキング
リセール率が過去から現在にかけての「資産価値」を示す指標であるならば、「人気ランキング」は、今まさに市場でどのモデルが求められているかを示すリアルタイムな指標と言えます。
ここでは、各種時計専門店の販売データなどを基にした、現在のグランドセイコーの人気モデルランキングを、その魅力と共に紹介します。
順位 | モデル名(通称) | 型番 | 特徴と人気の理由 |
1位 | エボリューション9 ”白樺” | SLGH005 | 新世代ムーブメント「9SA5」と新デザイン文法「エボリューション9スタイル」を体現した現代GSの象徴。力強い白樺の樹皮を模した芸術的な文字盤が国内外で絶大な支持を得ています。 |
2位 | ヘリテージ ”雪白” | SBGA211 | 海外で「スノーフレーク」として人気に火が付いた国際的な知名度を誇るモデル。スプリングドライブの滑らかな運針と、軽量なブライトチタンの快適な装着感が長く愛される理由です。 |
3位 | ヘリテージ 9Fクオーツ | SBGP011 | 「究極のクオーツ」を搭載し、年差±10秒という驚異的な精度を誇ります。時刻を止めずに時差修正できる便利な機能と、40mmの万能なサイズ感、優れたコストパフォーマンスが魅力です。 |
4.位 | ヘリテージ 9Fクオーツ GMT | SBGN013 | 信頼性の高い9FクオーツにGMT機能を追加した実用的なモデル。深みのあるブラックダイヤルに映える赤いGMT針が、スポーティーかつ知的な印象を与え、幅広いシーンで活躍します。 |
5位 | エレガンス GMT | SBGM221 | クラシックで上品なデザインが特徴のエレガンスコレクションを代表する一本。アイボリーの文字盤とブルースチールのGMT針の組み合わせが美しく、世界的な著名人の着用でさらに注目度が高まりました。 |
このランキングの動向を分析すると、現在のグランドセイコーは、ユーザーから以下の3つの要素が強く求められていることが分かります。
- ブランドの進化を体現するモデル(エボリューション9)
- 日本ならではの感性が光るデザイン(自然美ダイヤル)
- 信頼性と利便性を極めた実用性(高性能クオーツ)
ただし、人気ランキングを参考にする際には注意点もあります。ランキング上位のモデルは需要が高いため、店舗によっては品薄であったり、入荷待ちになったりする可能性があります。
また、販売本数での人気が、必ずしもリセール率の高さと直結するわけではないことも理解しておく必要があります。
とはいえ、多くの人々に選ばれているという事実は、そのモデルが持つ魅力の証明に他なりません。人気ランキングは、自身の時計選びの軸を定める上で、間違いなく有力な羅針盤となるでしょう。
実際に着けてる人のイメージ
グランドセイコーを身に着けている人は、一般的に「時計の本質的な価値を理解し、品質を重視する堅実な人物」というイメージを持たれることが多いようです。これは、流行やブランドの知名度だけに流されず、製品そのものの質の高さで選ぶという姿勢が反映されているためです。
愛用者には、医師や弁護士といった専門職、企業の管理職、そして純粋な時計愛好家などが多く見られます。彼らに共通するのは、ジャパンメイドへの深い信頼感と、実用性を伴った機能美を好む傾向です。
グランドセイコーの持つ、世界最高峰の精度、卓越した外装技術、そして飽きのこない普遍的なデザインは、まさに彼らの価値観と合致するのでしょう。
派手さはありませんが、細部まで丁寧に作り込まれた時計を腕にしていることで、「仕事ができる」「信頼できる」といったポジティブな印象につながることも少なくありません。
つまり、グランドセイコーを選ぶという行為そのものが、着用者が持つ審美眼や堅実な人柄を雄弁に物語っているのです。
資産価値を左右する希少モデル
グランドセイコーの資産価値を議論する際、その価値を大きく左右する特別な存在が、限定生産された「希少モデル」です。通常ラインナップのモデルが安定した価値を持つ一方で、これらの希少モデルは時に驚くほどの評価を受けることがあります。
それでは、実際にどのような希少モデルが高い資産価値を形成しているのでしょうか。ここでは代表的なモデルをいくつかのタイプに分けて、その特徴を表にまとめました。
分類 | 型番 | 通称・モデル名 | 限定本数 | 特徴と価値の理由 |
店舗・団体限定 | SBGH297 | 銀座限定2022モデル | 260本 | 銀座の街路を模した「銀座グリッドパターン」の文字盤。その芸術性と物語性から発売直後より市場価格が高騰。 |
SLGA017 | AJHH特別限定モデル | 255本 | 人気の「雪白」をベースにした「雪白ブルー」ダイヤル。最新のスプリングドライブを搭載し、スペックも高い。 | |
復刻・記念 | SBGW253 | 初代GSリミテッドコレクション | 1960本 | 1960年の初代モデルを忠実に復刻。現代的な38mmケースにアップデートされており、歴史的価値から高い人気を誇る。 |
海外・地域限定 | SBGJ227 | 海外限定 “ピーコック” | 海外限定 | 孔雀の羽をモチーフにした深いグリーンの文字盤が特徴。国内での入手が困難なため、逆輸入品として希少価値が高い。 |
これらの例からも分かるように、希少モデルは「限定本数の少なさ」に加え、「特別なデザイン」や「歴史的な物語性」といった付加価値を持つことで、通常モデルとは一線を画す資産価値を形成しています。
ただし、これらのモデルは入手が極めて困難であり、二次流通市場では定価を大幅に上回る高値で取引されることがほとんどです。資産価値を重視してこれらのモデルを狙う際は、その点を十分に理解した上で検討することが大切です。
グランドセイコーの資産価値を支える人気モデルとリセール
価値が落ちにくい人気モデルとは
限定生産の希少モデルが注目されがちですが、グランドセイコーの真価は、むしろ定番として長く愛される人気モデルにこそ表れているのかもしれません。限定品でなくとも、長年にわたって価値が大きく下がりにくいモデルは数多く存在します。
では、なぜこれらの定番モデルは安定した資産価値を維持できるのでしょうか。
時代に左右されない普遍的なデザイン、ブランドの哲学を体現する独自の機構、そして様々なライフスタイルに応える高い実用性。これらの要素が複合的に絡み合い、中古市場における揺るぎない需要を生み出しているのです。
ここでは、価値が落ちにくい定番モデルが属する主要なコレクションの特徴を、具体的なモデル例とともに詳しく解説します。
ブランドの王道:ヘリテージコレクション
グランドセイコーのコレクションの中で、最もその哲学と歴史を色濃く反映しているのが「ヘリテージコレクション」です。このコレクションのモデルが価値を維持しやすい最大の理由は、ブランドのデザインの礎である「セイコースタイル」を現代的に継承している点にあります。
「セイコースタイル」とは、歪みのない鏡面仕上げ(ザラツ研磨)と、シャープな稜線が織りなす光と影の調和、そして視認性を極限まで高めた多面カットの針やインデックスなどを特徴とする、日本独自の美学です。
この飽きのこない普遍的なデザインは、流行の影響をほとんど受けません。
スプリングドライブを搭載した「SBGA211」、通称「雪白(スノーフレーク)」は、ヘリテージコレクションを象徴する存在です。風に吹かれた雪面を思わせる繊細な文字盤、軽量で耐傷性に優れたブライトチタン製のケースとブレスレット、そして滑らかな秒針の動き。これらの要素が高次元で融合しており、国内外で絶大な人気を誇ります。
このようなブランドの顔と言えるモデルは、中古市場での需要が常に高く、価値が非常に安定しています。
機能美と堅牢性の融合:スポーツコレクション
次に、根強い人気を誇るのが「スポーツコレクション」です。このコレクションの魅力は、グランドセイコーが培ってきた高精度・高品質を、ダイバーズウォッチやGMT、クロノグラフといったタフな環境下で活躍する機能と融合させている点にあります。
ロレックスなどの海外ブランドのスポーツモデルとは異なり、グランドセイコーのスポーツコレクションは、過度に武骨になることなく、洗練された高級感を保っているのが特徴です。
GMT機能を搭載した「SBGE253/255/257」シリーズは、セラミックベゼルによる高い耐傷性とスポーティーなルックスを備えつつ、ビジネスシーンにも馴染む品格を兼ね備えています。
また、本格的な200m潜水用防水性能を持つダイバーズモデル「SBGA231」なども、その堅牢な作りと実用性の高さから高く評価されています。しっかりとした作り込みは時計の寿命を延ばし、長期的な価値を担保します。
このように、実用性と高級感を両立させたモデルは、アクティブなライフスタイルを持つユーザーから常に求められており、中古市場での価格を安定させる大きな要因となっています。
洗練された気品:エレガンスコレクション
最後に、近年評価を高めているのが「エレガンスコレクション」です。その名の通り、クラシカルで洗練されたデザインを特徴とし、特にフォーマルな装いや、より上品なスタイルを好む層から支持を集めています。
このコレクションのモデルは、やや小ぶりなケース径、温かみのあるボックス型サファイアガラス、そして美しいレザーストラップの組み合わせが多く見られます。
中でも、アイボリーのダイヤルとブルースチールのGMT針が美しい「SBGM221」は、そのクラシックな佇まいで長年人気を博してきましたが、メジャーリーガーの大谷翔平選手が着用したことで、その知名度と人気が世界的に飛躍しました。
エレガンスコレクションのモデルは、流行の最先端を追うものではありませんが、それゆえに時代を超えて愛される魅力を持っています。ドレスウォッチとしての確固たる地位を築いているため、こちらも価値が安定しやすいカテゴリーと言えるでしょう。
これらのコレクションを代表する定番モデルは、限定品のような急激な価格高騰は稀ですが、その代わりに大きく価値を落とすことも少ないです。自身のライフスタイルや好みに合わせて、長く付き合える一本を選ぶことが、結果として賢明な資産としての時計選びにつながるでしょう。
不動の人気を誇る白樺モデルの魅力
近年のグランドセイコーを象徴する存在として、絶大な人気と高い資産価値を確立しているのが、通称「白樺」モデルです。このモデルの魅力は、独創的で美しい文字盤デザインと、それを駆動する高性能なムーブメントの見事な融合にあります。
「白樺」モデルには、大きく分けて2つのバリエーションが存在します。一つは、メカニカルハイビートムーブメントを搭載した「SLGH005」。もう一つは、スプリングドライブムーブメントを搭載した「SLGA009」です。どちらも、グランドセイコーの製造拠点から望む、信州の雄大な白樺林から着想を得ています。
SLGH005は、力強く立体的な型打ち模様で白樺の樹皮を表現しており、その精緻な作りは世界最高峰の時計コンクール「ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリ(GPHG)」で部門賞を受賞するほど高く評価されました。
一方、SLGA009は、より繊細なパターンで朝霧の中の白樺林の静けさを表現しています。
この芸術性の高いデザインは、海外でも「White Birch」の愛称で親しまれ、多くの時計愛好家の心を掴みました。ブランドの新たなステージを象徴する「白樺」モデルは、その人気と評価の高さから、今後の資産価値においても大きな期待が寄せられています。
独自機構スプリングドライブの価値
グランドセイコーの資産価値を語る上で、独自開発の駆動機構「スプリングドライブ」の存在は極めて大きな要素です。これは、機械式時計とクオーツ式時計の長所を融合させた、世界で唯一の技術であり、他ブランドでは決して得られない特別な価値を提供します。
スプリングドライブの仕組みを簡単に説明すると、動力源は機械式時計と同じ「ぜんまい」です。ぜんまいがほどける力を利用して歯車を回し、針を動かします。しかし、時間の正確さを制御する「調速機構」に、クオーツ時計で使われる水晶振動子とIC回路を用いている点が画期的なのです。
このハイブリッド機構により、スプリングドライブは機械式時計のような力強いトルクを持ちながら、クオーツ時計に匹敵する極めて高い精度(平均月差±15秒)を実現しました。
そして、最大の特徴とも言えるのが、秒針の動きです。カチカチと時を刻むステップ運針ではなく、まるで水の上を滑るかのように、音もなく滑らかに文字盤上を動き続けます。この「スイープ運針」は、時の流れを途切れなく表現する、スプリングドライブならではの美しさです。
「雪白」の愛称で知られる「SBGA211」をはじめ、多くの人気モデルに搭載されているこの機構は、「グランドセイコーならではの技術」として国内外で高く評価されており、中古市場での高い需要と安定した資産価値の源泉となっています。
安定した評価の9Fクォーツ
グランドセイコーというと、機械式やスプリングドライブが注目されがちですが、「9Fクォーツ」搭載モデルも、その究極的な実用性と手の届きやすい価格帯から、非常に安定した資産価値を誇ります。
「9Fクオーツ」は、一般的なクオーツ時計とは全く異なる思想で設計されています。まず、その精度は年差±10秒という驚異的なレベルにあります。これは、厳選された水晶振動子を3ヶ月間熟成させ、個々の特性に合わせたICを搭載することで実現されています。
さらに、機械式時計のような太く長い針を正確に動かすため、通常のクオーツの約2倍の力を持つ「ツインパルス制御モーター」を搭載。また、日付が瞬時に切り替わる「瞬間日送りカレンダー」や、秒針が目盛りを正確に示すための「バックラッシュ・オートアジャスト機構」など、高級時計にふさわしい機構が随所に盛り込まれています。
これらの高性能ムーブメントは、熟練の職人の手によって一つひとつ手作業で組み立てられます。代表的なモデルである「SBGV225」などは、中古市場でも価格が大きく崩れることなく安定して推移しており、購入価格に対して良好なリセール率を維持しています。
投機的な価値は期待しにくいものの、初期投資を抑えながら、世界最高峰の品質と価値の落ちにくい時計を手に入れたいと考える方にとって、9Fクオーツは極めて合理的で賢明な選択肢と言えるでしょう。
「やめとけ」と言われる理由とは?
グランドセイコーの購入を検討する際に、「やめとけ」という意見を目にすることがあります。これは一体なぜなのでしょうか。
主な理由として、一部の海外高級時計ブランドと比較した際のリセールバリュー(再販価値)や、一般的な知名度に関する点が挙げられます。
例えば、ロレックスの一部のモデルは、購入価格を上回る金額で取引されることが珍しくありません。これに対して、グランドセイコーは品質に見合った高い評価を受けているものの、多くのモデルでリセール率が定価の4割から6割程度に落ち着くことが多く、投機的な意味合いでの資産価値を期待すると「期待外れだ」と感じる方がいるようです。
また、時計に詳しくない層からは、単に「セイコー」という大衆的なブランドイメージと混同されてしまうこともあります。そのため、ステータス性を強く求める方にとっては、物足りなさを感じる一因となっているのかもしれません。
しかし、これらの意見はあくまで一面的な見方に過ぎません。時計本来の品質、精度、そして長く愛用できる耐久性を重視する人々からは、絶大な支持を得ています。
したがって、「やめとけ」という言葉の背景には、時計に何を求めるかという価値観の違いからからものと言えるでしょう。
嫌味に映る?という声について
高級時計を身に着ける際、周囲から「嫌味に見えないか」と心配する方は少なくありません。しかし、グランドセイコーに関して言えば、その懸念は比較的小さいと考えられます。
なぜなら、ブランドの根底に流れるデザイン哲学「セイコースタイル」が、華美な装飾を排し、本質的な機能美を追求しているからです。
グランドセイコーの時計は、一見するとシンプルで落ち着いた印象を与えます。ロゴの主張も控えめで、光と影のコントラストを巧みに利用したケースの研磨技術や、視認性を極めた文字盤と針の作り込みにこそ、その真価が現れます。このような奥ゆかしい美学は、これ見よがしな印象を与えません。
実際に、時計愛好家からは「質の高さを知る、センスの良い選択」と評価されることが多く、時計に詳しくない人からは「真面目で、良いものを知っている大人」といった好意的なイメージを持たれやすい傾向があります。
特にビジネスシーンにおいては、相手に威圧感を与えることなく、自身の信頼性や誠実さをさりげなく示すことができるため、非常に優れた選択肢となります。
グランドセイコーが「嫌味」に映る可能性は低く、むしろ着用者の知性や品格を物語るアイテムと言えるでしょう。
総括:グランドセイコーの資産価値
最後にこの記事のポイントをまとめておきます。
- グランドセイコーの資産価値は安定しており急落しにくい
- ロレックス等と異なり短期的な投機目的には向かない
- 「やめとけ」との声はリセール率や知名度の一面的な見方
- 控えめなデザインは「嫌味」にならずビジネスシーンで高評価
- 着用者は品質を重視する本質志向のイメージ
- 近年の値上げはブランドの価値向上戦略の一環
- 限定・記念モデルは希少性から高い資産価値を持つ傾向
- 定番では「白樺」などデザイン性の高いモデルが人気
- 世界唯一のスプリングドライブは価値を支える独自技術
- 9Fクォーツは実用性と安定した価値を両立
- リセール率はモデルにより異なり4割から100%超まで様々
- 銀座限定など一部モデルは定価を大きく超える
- 購入時はデザインの好みと資産価値のバランスを考慮すべき
- ジャパンメイドの品質と信頼性が長期的な価値を担保
- 今後のグローバル展開により評価がさらに高まる可能性
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