エルメスの時計の購入を検討する際、「腕時計として恥ずかしいブランドではないか」「クリッパーはダサいと聞くけど本当?」といった漠然とした不安がよぎることがあります。
また、なぜ他の高級ブランドと比較して安いと感じる価格帯なのか、廃盤になった人気モデルの現在の資産価値はどうなっているのか、といった具体的な疑問も尽きません。
特に、ブランドのアイコンであるHウォッチの近年の値上がり傾向や、時を経ても色褪せないヴィンテージ市場での評価、そしてケープコッドが放つ唯一無二のデザイン性など、知れば知るほどその魅力は深まります。
さらに、気になるメンズからの評価や年齢層は自分に適しているのか、実際のレディース人気とメンズ人気の実態まで、この記事ではあらゆる角度からエルメスの時計を徹底的に解説し、あなたが抱える疑問や不安を解消します。
- 「恥ずかしい」と言われる具体的な理由とその背景がわかる
- エルメスの時計が持つ、デザイン以外の本当の魅力と技術的な価値がわかる
- 年代や性別、ライフスタイルに合った人気モデルの選び方がわかる
- 資産価値やメンテナンスまで含めた、購入後の後悔を避けるための知識が身につく
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なぜエルメスの時計は恥ずかしいと言われるのか
- 腕時計 恥ずかしいブランドとの違い
- なぜ安いと感じる?価格帯の理由
- 時計としての資産価値は低いのか
- クリッパーはダサいという評価の真相
- 気になる男性からのメンズ評価とは
- 似合う年齢層が限られるという誤解
恥ずかしい腕時計ブランドとの違い
エルメスの時計が一部で躊躇される最も大きな理由の一つに、「時計専門ブランドではない」という固定観念があります。確かに、ロレックスやオメガ、パテック・フィリップのように、創業以来時計製造のみを追求してきた生粋のブランドと比較すると、エルメスは馬具工房から発展した総合ラグジュアリーブランドです。
この出自から、一部の熱心な時計愛好家からは「所詮はファッションウォッチ」と見なされ、機械的な本格性や歴史の深さにおいて一段下に見られてしまうという印象を持たれることがあるようです。
しかし、この見方はブランドの歴史と近年の動向を正確に捉えているとは言えません。
エルメスが時計の販売を開始したのは1920年代後半であり、実に100年近い歴史を誇ります。これは多くの時計ブランドと比較しても遜色のないものです。さらに重要なのは、近年エルメスが時計製造への本格的な取り組みを劇的に強化している点です。
この戦略的なパートナーシップにより、エルメスはデザインだけでなく、時計の心臓部であるムーブメントにおいても、スイスの一流ブランドに匹敵する高い技術力を確保しました。
実際に、自社工房で開発・製造される自社製ムーブメントを搭載したモデルも次々と発表しており、もはや単なる「ファッションブランドの時計」というカテゴリーでは語れない、本格的なマニュファクチュール(自社一貫製造)ブランドへと進化を遂げているのです。
したがって、他のファッションブランドがライセンス生産で手掛ける時計とエルメスを同列に語るのは、その長い歴史と、本物への飽くなき探求心、そして技術力への莫大な投資という事実を見過ごしていると言えるでしょう。
どのような高級時計が「買ってはいけない」と評価されがちかご存知ですか。専門家が解説する資産価値やブランドイメージの観点を知ることで、エルメスがその評価に当てはまらない理由をより深く理解できます。
⇒ 買ってはいけない高級時計ブランドとは?専門家が選ぶ失敗しない選び方
なぜ安いと感じる?価格帯の理由
エルメスの時計が「なぜ安い」と感じられる背景には、主に時計専門の超高級ブランドとの比較が存在します。
例えば、パテック・フィリップやオーデマ・ピゲの入門モデルが数百万円から、ロレックスの人気モデルも100万円を超える価格帯で取引されるのが当たり前なのに対し、エルメスではブランドのアイコンであるHウォッチなどのクォーツ(電池式)モデルが40万円台から購入可能です。
この価格差が、「もしかして品質が劣るのでは?」という疑問につながることがあります。しかし、この価格設定には、エルメスの巧みなブランド戦略が大きく関係しています。
理由 | 詳細 |
事業の多角化 | エルメスはバッグ、革小物、スカーフ、プレタポルテ(既製服)など、多岐にわたる製品で巨大な収益基盤を築いています。そのため、時計事業だけで全ての利益を上げる必要がなく、製造コストや開発費をブランド全体で戦略的に最適化できるという、時計専門ブランドにはない大きな強みがあります。 |
ムーブメントの選択 | 一部のエントリーモデルにおいて、汎用性の高いスイス製の高精度なクォーツムーブメントを採用することも、価格を抑える一因となっています。これにより、複雑な機構を持つ機械式時計に比べて製造コストを下げつつ、日常使いにおける高い精度とメンテナンスの容易さを実現しています。 |
顧客層の拡大 | 比較的現実的な価格帯のモデルを用意することで、これまでエルメスに縁のなかった若い世代や、初めて高級時計を購入する層にも門戸を開いています。これは、将来的にバッグなどの高価格帯製品へと顧客を導くための、非常に重要な入り口としての役割も担っているのです。 |
ただし、これは決して品質面での妥協を意味するわけではありません。むしろ、エルメスが誇る最高品質の革素材を用いたストラップや、他の追随を許さない卓越したデザイン性を考慮すると、エルメスの時計は非常にコストパフォーマンスが高いと言えます。
ブランドの世界観を余すところなく体現した芸術品ともいえる腕時計を、比較的現実的な価格で提供するという絶妙なバランス戦略こそが、この価格帯の真の理由です。
時計としての資産価値は低いのか
エルメスの時計の資産価値については、どのような視点で、そしてどの時間軸で評価するかによって答えが大きく異なります。
もし、購入価格からの短期的な値上がり益を期待する「投資」や「投機」という観点で見れば、ロレックスの特定のスポーツモデルのような急激な価格高騰は現時点では見られにくいのが実情です。そのため、換金率やリセールバリュー(再販価値)を最優先に考える方からは、「資産価値が低い」と見なされることがあります。
ただ、この評価は近年大きく変化しつつあります。その背景には、以下のような要因が挙げられます。
- ブランド価値の向上:前述の通り、エルメスは本格的な時計ブランドとしての地位を確立しつつあり、その品質とデザイン性が市場で再評価されています。
- 希少性:エルメスは全ての製品において生産数を厳しく管理しており、時計も例外ではありません。そのため市場での流通量が限られており、これが中古市場での価格の安定につながっています。
- 定価の上昇:2020年以降、世界的な需要の高まりと原材料費の上昇を受け、エルメスは定価の改定を繰り返し行っています。新品の価格が上がることで、それ以前に購入された中古品の価値も相対的に上昇する傾向にあります。
特に、ブランドの顔である「Hウォッチ」や、惜しまれつつも廃盤となった「クリッパー」などの人気モデルは、中古市場でも需要が供給を上回る状態が続いており、保存状態が良ければ購入価格の60%以上、時にはそれ以上の価格で取引されることも珍しくありません。
したがって、短期的な投機対象としては不向きかもしれませんが、流行に左右されない普遍的な価値を持ち、長期的に見て価値が大きく下落しにくい「堅実な資産」として捉えることが可能です。
単なる消費物ではなく、愛用しながらその価値を保ち続けられる、賢い選択肢の一つと言えるでしょう。
他のブランドの資産価値も気になりませんか。例えば、国産高級時計のグランドセイコーはどのような評価を受けているのでしょうか。異なるブランドのリセール率や価値基準を知ることで、比較検討の幅が広がります。
⇒ グランドセイコーの資産価値は?人気モデルとリセール率を徹底解説
クリッパーはダサいという評価の真相
1981年に登場し、2018年に生産終了となるまで、約37年間にわたりエルメスの人気モデルとして君臨した「クリッパー」。
しかし、生産終了から数年が経過した現在、「クリッパーは少しダサい」という意見を時折見かけるようになりました。この評価の背景には、いくつかの複合的な要因が考えられます。
まず、クリッパーが最も人気を博した1990年代から2000年代のデザインが、現在のミニマルでジェンダーレスなトレンドとは少し異なるため、「時代遅れ」「少し前の流行」と感じる人がいる可能性があります。特に、エルメスの頭文字「H」をかたどったコマが連なったブレスレットは、デザインとして非常に特徴的であり、これが現代の視点から見るとやや装飾的に映り、個人の好みがはっきりと分かれる部分です。
しかし、この評価はあくまで一部の主観的な意見に過ぎません。クリッパーのデザインの根源は、19世紀に大海原を駆け巡った大型快速帆船「クリッパー号」の舷窓(げんそう)から着想を得た、非常にクラシカルで完成されたものです。
ベゼルにあしらわれた6つのビス(ネジ)は、その舷窓を固定するパーツを模しており、スポーティーさとエレガンスが絶妙に融合しています。その普遍的なデザインは、本来、流行に左右されることなく多くのファンを魅了し続けているのです。
スポーティーでありながら、エルメスならではの気品を失わない独特の雰囲気は、他のどのブランドにもない唯一無二の魅力です。
そのため、「ダサい」という一言で片づけるのではなく、「時代を超えて愛される、一つの完成されたスタイルを持つ名作」と評価する声の方が、圧倒的に多いのが偽らざる実情です。
気になるメンズモデルの評価は高い?
エルメスは、バーキンやケリーといったアイコンバッグのイメージがあまりにも強いため、一般的に「女性のためのブランド」という印象を持つ方が少なくありません。この先入観から、男性がエルメスの時計を身に着けることに対して、「女性的に見られないか」「時計好きのコミュニティでどう評価されるのだろうか」といった懸念や躊躇の声が聞かれることがあります。
確かに、Hウォッチのように明らかに女性からの支持が高いモデルも存在しますが、エルメスは男性向けの時計にも非常に力を入れており、時計愛好家を唸らせるような本格的なモデルを多数ラインナップしています。
アルソー(Arceau):馬具の伝統を受け継ぐエレガンス
1978年に、伝説的デザイナーのアンリ・ドリニーによって生み出された、エルメスの時計製造を象徴するフラッグシップモデルです。
最大の特徴は、ブランドのルーツである馬具の「鐙(あぶみ)」をモチーフにした、上下非対称のラグ(ベルト接続部)のデザイン。そして、馬が駆けるような流麗な書体で描かれたアラビア数字のインデックスです。
このクラシックで知的な佇まいは、ビジネスシーンでの信頼感を高め、洗練された大人の男性を演出します。複雑機構を搭載したモデルも多く、時計愛好家からの評価も非常に高い一本です。
エルメス H08:現代の男性に向けたスポーティーシック
2021年に発表され、時計業界に衝撃を与えた、現代的でスポーティーなコレクションです。
ケース素材には軽量で頑丈なチタンや、最先端素材であるグラフェンといったハイテク素材を使用。クッション型(角が丸い四角形)のケースと円形の文字盤を組み合わせた独特のデザインは、力強さの中にエルメスらしいエスプリ(知性や機知)を感じさせます。
本格的な自社製機械式ムーブメントを搭載し、機能性を重視する男性からも絶大な支持を集めています。
このように、エルメスには男性の所有欲を十二分に満たす、深い歴史と革新性を兼ね備えた珠玉のモデルが豊富に存在します。
ブランド全体の漠然としたイメージだけで判断せず、それぞれのモデルが持つ物語や魅力に目を向ければ、男性にとっても非常に満足度の高い、魅力的な選択肢であることがわかります。
エルメス以外の選択肢として、どのようなメンズウォッチが「センスがいい」と評価されているか見てみませんか。40代の男性にふさわしい価格帯別のブランド一覧は、あなたの時計選びの参考になるはずです。
⇒ 40代男性必見!価格別センスのいい腕時計ブランド25選
似合う年齢層が限られるという誤解
エルメスの時計、特にブランドの象徴である「Hウォッチ」に対して、「若い女性向けのファッショナブルな時計」「ある程度の年齢になったら、デザインが可愛すぎて似合わないのでは」というイメージを持つ方がいるようです。ブランドのイニシャル「H」を大胆にあしらったデザインが、若々しくファッショナブルな印象を与えるからかもしれません。
しかし、これは大きな誤解であり、エルメスの時計が持つ多様性を見過ごしています。
エルメスの時計は、特定の年齢層のためだけに作られているわけではありません。むしろ、デザイン、ケースサイズ、素材、ストラップのカラーバリエーションが非常に豊富であるため、どの年代の方でもご自身のスタイルやライフステージに完璧にマッチする一本を見つけることが可能です。
年代別に見るエルメスウォッチの選び方
以下に、年代ごとのおすすめの選び方とモデルの例をまとめました。これはあくまで一例であり、ご自身の個性を表現する最適な一本を見つけるためのヒントとしてご活用ください。
年代 | おすすめの選び方とモデルの例 |
20代 | キャリアのスタートを飾るファーストエルメスとして。明るいオレンジやブルーなど、ポップなカラーのレザーストラップが付いた「Hウォッチ」のPMサイズがおすすめです。フレッシュでポジティブな印象を与え、オンオフ問わずファッションのアクセントになります。 |
30代 | 品格と華やかさの両立が求められる年代。手元をエレガントに演出し、ビジネスシーンでも自信を与えてくれる「ケープコッド」のドゥブルトゥール(二重巻きストラップ)はいかがでしょうか。知的ながらも遊び心を感じさせるスタイルが確立できます。 |
40代 | 過度な装飾を避け、本質的な価値で選びたい時期。エルメスのルーツとクラシックな様式美を感じさせる「アルソー」が最適です。さりげない佇まいの中に知性と上質感が宿り、大人の落ち着きと揺るぎない信頼感を醸し出します。 |
50代以上 | 人生経験を重ねた深みのある魅力を引き立てるタイムピースを。ケースにゴールド素材を用いたモデルや、インデックスに控えめにダイヤモンドをあしらったHウォッチなどがふさわしいでしょう。タイムレスなデザインの時計は、まさに「一生もの」として時を刻み続けます。 |
このように、選び方一つでエルメスの時計は生涯にわたって寄り添うパートナーとなり得ます。
年齢を理由に選択肢から外すのではなく、今の自分、そして未来の自分を最も輝かせる一本を探すことこそが、エルメスの時計選びの醍醐味と言えるでしょう。
特定の年齢層で腕時計の評価が気になるのは、他のブランドでも同じです。例えばオメガは40代で着けているとどう見られるのでしょうか。他ブランドの事例を知ることで、年齢と時計の関係を客観的に考えられます。
⇒ オメガは40代だと恥ずかしい?着用する際の10のポイント!
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⇒ 腕時計レンタルサービスならカリトケ本当にエルメスの時計は恥ずかしいのか?魅力と価値
- レディース人気の高さが価値の証明
- 実はメンズ人気も高い代表モデル
- ヴィンテージ市場での評価と需要
- 廃盤モデルにプレミアが付く理由
- Hウォッチは値上がりしているのか
- ケープコッドが持つ独特の魅力
- エルメスの時計は恥ずかしい?結論
レディース人気の高さが価値の証明
エルメスの時計が「恥ずかしい」という一部の意見を覆す、最も強力で明確な根拠は、ファッションや本質的な価値に敏感な女性たちからの圧倒的な人気と支持です。
もしエルメスの時計が本当に価値の低いものであれば、これほどまでに多くの人々、特に審美眼の厳しい女性たちに、長年にわたって「憧れのアイテム」として選ばれ続けることはないでしょう。
特に「Hウォッチ」や「ケープコッド」は、単に時間を知るための道具という枠を完全に超え、手元を優雅に彩るジュエリーのような存在として確固たる地位を築いています。エルメスならではの上質を極めたレザーストラップは、その日の気分や服装に合わせて付け替えることで、無限に近い表情を見せてくれます。時計をファッションの一部として積極的にコーディネートする楽しみを提供してくれるのです。
もちろん、この絶大な人気は、見た目の優れたデザイン性だけが理由ではありません。心臓部にはスイス製の高精度なムーブメントを採用し、時計としての信頼性も完全に確保されています。
また、華奢な女性の腕にも美しく収まるよう緻密に計算されたケースサイズや、長時間着けていてもストレスを感じさせない軽やかでしなやかな装着感など、実用面においても細やかな配慮が隅々まで行き届いています。
多くの女性が雑誌やSNSで「いつかは欲しい憧れの時計」としてエルメスを挙げる事実は、恥ずかしいどころか、所有する人のステータスと洗練されたセンスを静かに、しかし雄弁に物語るアイテムであることを明確に示しているのです。
腕時計は、着け方一つで印象が大きく変わります。特に女性の場合、どの位置に着けるのがマナーとして正しく、またおしゃれに見えるのでしょうか。基本的な付け方を知ることで、エルメスの時計をより魅力的に見せられます。
⇒ 腕時計の付け方【女性編】正しい位置とマナー、おしゃれ術
実はメンズ人気も高い代表モデル
前述の通り、エルメスには男性向けに特別にデザインされ、時計市場で高い人気を誇るモデルが厳然と存在します。これらの珠玉のモデルは、「エルメス=女性ブランド」という一面的なイメージを心地よく裏切り、男性ならではのこだわりや美的センス、ライフスタイルに完璧に応える深い魅力を備えています。
例えば、「アルソー」は、エルメスのブランドの原点である馬具製造の歴史と哲学を、最もエレガントな形で感じさせてくれるデザインが秀逸です。鐙(あぶみ)を模したラグのデザインは他に類を見ない唯一無二のものであり、クラシックなスーツスタイルから、休日のジャケットスタイルまで、あらゆる装いを格上げする圧倒的な気品を纏っています。
さらに、複雑機構であるクロノグラフやムーンフェイズを搭載した本格的な機械式ムーブメントのモデルも多く、時計本来の精緻なメカニズムを楽しみたいと願う男性から、長年にわたり高い評価を得続けています。
一方で、より現代的でアクティブなライフスタイルを送る男性には、「エルメス H08」が最適なパートナーとなるでしょう。
それでいて、細部の丁寧な仕上げや独特のタイポグラフィ(書体)には、紛れもなくエルメスらしいエスプリが香り立ち、他の多くのスポーツウォッチとは一線を画す、都会的で洗練された雰囲気を纏っています。
エルメスが長年にわたって培ってきた卓越したクラフトマンシップと普遍的な美学が、性別という枠を超えて本質的な価値を持っているからに他なりません。
ヴィンテージ市場での評価と需要
エルメスの時計が持つ真の価値を測る上で、新品市場での人気と並行して、ヴィンテージ市場(中古市場)での評価は極めて重要な指標となります。発売から数十年を経た古いモデルが、現在どのように評価され、どのような人々に求められているかを見ることで、そのブランドが持つ流行を超えた普遍的な力の有無がわかるからです。
その点において、エルメスの時計はヴィンテージ市場でも非常に高い人気と安定した需要を誇ります。
特に、既に生産が終了しているにもかかわらず問い合わせが絶えない「クリッパー」や、発売初期の「Hウォッチ」、そして1980年代から90年代にかけて製造された、現在にはないユニークで実験的なデザインの希少モデルなどは、熱心なコレクターズアイテムとして確固たる価値が見出されています。
ヴィンテージ品がこれほどまでに評価される理由は、単に古いというだけではありません。その時代にしか存在し得なかったデザインの魅力や、経年変化によって生まれた独特の風合い、そして現行品にはない希少性です。
エルメスの時計は、一過性の流行に左右されない普遍的なデザイン哲学に基づいて生み出されているため、何十年という時を経てもその魅力が色褪せることがありません。むしろ、丁寧に使われてきたレザーストラップや、わずかに焼けた文字盤が持つ独特の温かみや味わいが、新品にはない新たな魅力として加わるのです。
このように、ヴィンテージ市場で常に安定した需要が存在するという事実は、エルメスの時計が一過性のトレンド商品ではなく、世代を超えて長く愛され、その価値が大切に受け継がれていく「本物」であることの、何より雄弁な証明と言えるでしょう。
アンティーク時計の世界は奥深く、エルメス以外のブランドも魅力的です。例えば、オメガのアンティーク時計はなぜ手頃な価格で見つかるのでしょうか。購入時の注意点と合わせて知っておくと、賢い選択ができます。
⇒ オメガのアンティーク時計はなぜ安いのか?購入時のポイントも解説!
廃盤モデルにプレミアが付く理由
2018年に生産が終了した「クリッパー」のように、惜しまれつつも廃盤となったエルメスのモデルが、中古市場で根強い人気を集め、時には希少性からプレミア価格で取引されることがあります。
この興味深い現象は、エルメスの時計が単なる製品ではなく、特別な価値を持つ存在であることを明確に示唆しています。
理由① 希少性
廃盤モデルに人気が集中する最大の理由は、シンプルかつ強力な「希少性」です。
もう二度とエルメスのブティックで新品を手に入れることができないという事実が、時計愛好家やブランドのファンの所有欲を強く掻き立てます。
特に、生産された期間が短かった限定モデルや、特殊な文字盤カラー、コンビ素材のモデルなど、元々の流通量が少ないものは市場に出回る数も限られるため、価値が上がりやすくなるのです。
理由② 物語性や時代性
また、そのモデルが持つ「物語性」や「時代性」も、人気を支える重要な要素です。
クリッパーであれば、エルメスの一時代を鮮やかに築いたアイコンウォッチとしての輝かしい歴史があります。
その時計が流行した時代をリアルタイムで知る人々にとっては甘い懐かしさを、その時代を知らない若い世代にとっては新鮮でレトロな魅力を感じさせます。
このように、単に「古いから」という単純な理由ではなく、もう手に入らないという希少性と、その時計が象徴する時代の物語が絶妙に組み合わさることで、廃盤モデルは新たな価値を持つ文化的アイコンへと昇華します。
これは、エルメスというブランドが長年にわたって築き上げてきた揺るぎない魅力と、顧客からの深い信頼がなければ決して起こり得ない現象と言えるでしょう。
Hウォッチは値上がりしているのか
エルメスのアイコンウォッチとして不動の人気を誇る「Hウォッチ」は、近年、様々な側面から見て価格が顕著に上昇傾向にあります。この「値上がり」という現象には、大きく分けて二つの側面が存在します。
側面① 定期的な定価の改定
一つ目の側面は、エルメス自身が世界中の市場で定期的に行う「定価の改定」です。
これは、高品質なレザーや金属といった原材料費の世界的な高騰や、為替レートの変動、そして何よりもエルメスというブランドの価値を維持・向上させるための戦略など、複合的な要因に基づいて行われます。
実際に、ここ数年間でHウォッチの国内定価は複数回にわたって明確に値上げされており、この傾向は今後も続くと考えるのが自然です。つまり、「欲しい」と思った時が最も安く手に入れられるタイミングである可能性が高いです。
側面② 中古市場での実勢価格の上昇
もう一つの側面は、二次流通市場、すなわち「中古市場での実勢価格の上昇」です。
新品の定価が上がると、それに連動して中古品の価格も引き上げられるのが市場の基本的なメカニズムです。加えて、世界的な需要の増加により、Hウォッチの中でも特に人気の高いカラーやサイズのモデルは、ブティックでも品薄状態が続いています。
これにより、すぐに手に入れたいと考える人々が中古市場に流れ、需要がさらに高まり価格を押し上げているのです。
これらの要因から、「Hウォッチは値上がりしている」というのは紛れもない事実です。数年前に購入したHウォッチが、現在の定価や中古市場での販売価格を上回るというケースも実際に出てきています。
このことは、Hウォッチが単なる消耗品としてのファッションアイテムではなく、長期的に見て価値が保たれやすい、賢明な資産としての側面も持ち合わせていることを力強く示しています。
時計の価値が時間と共にどう変化するかは興味深いテーマです。例えば、オメガの「スピードマスター」は20年前と比べて価格がどう変動したのでしょうか。過去の価格推移を知ることは、今後の価値を予測するヒントになります。
⇒ オメガ『スピードマスター』20年前の価格と現在の価値を徹底比較!
ケープコッドが持つ独特の魅力
Hウォッチと双璧をなし、エルメスの時計コレクションを代表するもう一つの偉大なアイコンが「ケープコッド」です。
1991年、エルメスの伝説的デザイナーであるアンリ・ドリニーによってデザインされたこの時計は、ブランドならではの既成概念にとらわれない独創性と、エスプリに満ちた遊び心が見事に結晶化しています。
ケープコッドの最大の特徴は、誰もが目を奪われる、正方形の文字盤を長方形のケースにすっきりと収めた、唯一無二のデザインにあります。この独創的なフォルムは、エルメスのアイコンジュエリーとしてあまりにも有名なブレスレット「シェーヌ・ダンクル」のコマ(鎖の環)からインスピレーションを得たもので、「四角いケースの中に長方形の文字盤をデザインする」という、従来の時計デザインの常識を軽やかに打ち破る斬新なアイデアから誕生しました。
さらに、ケープコッドの魅力を語る上で絶対に欠かせないのが、二重巻きのレザーストラップ「ドゥブルトゥール」の存在です。
手首にぐるぐると二重に巻きつけるこの優雅なストラップは、時計を単なる計器から、まるでブレスレットのような洗練されたアクセサリーへと見事に昇華させます。腕元で揺れるストラップが、エレガントで個性的な、忘れがたいアクセントを加えてくれるのです。
クラシックでありながらどこまでもモダン、シンプルでありながら一度見たら忘れられない強い個性を放つケープコッドは、まさにエルメスのエスプリを完璧に体現したモデルです。
Hウォッチが持つアイコニックな魅力とはまた異なる、よりアーティスティックで洗練された大人のためのタイムピースと言えるでしょう。
エルメスの時計は恥ずかしい?結論
この記事を通じて、様々な角度からエルメスの時計を深掘りしてきた結果、「エルメスの時計は恥ずかしい」という懸念は、多くの場合、誤解や表面的な情報に基づいた思い込みであることが明確になりました。
最後に、本記事の結論として重要なポイントを以下にまとめます。
- 最終的にエルメスの時計は恥ずかしいどころか持つ人の品格と個性を静かに、そして豊かに高める選択肢である
- エルメスの時計が恥ずかしいと言われるのは主に時計専門ブランドではないというイメージから
- ロレックス等と比較すると安い価格帯のモデルがあることも一因と見なされがち
- しかしエルメスは100年近い時計製造の歴史とヴォーシェ社に裏打ちされた高い技術力を持つ
- クリッパーがダサいという意見は個人の好みであり中古市場では今なお高い人気を誇る
- 女性ブランドのイメージがあるがアルソーやH08など男性に人気の高い本格的なモデルも多数存在する
- 年齢層を問わない豊富なバリエーションがあり選び方次第で生涯のパートナーになり得る
- ファッションに敏感な女性からの圧倒的な人気がその揺るぎない価値と魅力を証明している
- ヴィンテージ市場でも価値が認められており時代を超えて愛される普遍性を持つ
- 廃盤モデルには希少性からプレミアが付くこともありブランドの歴史そのものに価値がある
- Hウォッチをはじめとする人気モデルは定価改定と需要増により資産価値も上昇傾向にある
- ケープコッドなどエルメスならではの独創的で芸術的なデザインも大きな魅力
- 時計の資産価値は短期的な投資目的だけでなく長期的な視点で判断することが大切
- 周囲の評価を気にすることよりも自分のスタイルに合い心から愛せるかどうかが最も重要
- 品質、デザイン、歴史、資産価値を総合的に見ればエルメスの時計は自信を持って身に着けられる逸品
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