「モーリスラクロアの腕時計が気になっているけれど、『恥ずかしい』『ダサい』という評判もあって購入をためらっている…」。このように感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
確かに、モーリスラクロアには、ダサいと一部で言われることや、安っぽいといったイメージが一部に存在します。
しかし一方で、時計マニアに聞いたモーリスラクロアの魅力や、多くの芸能人が愛用している事実も見逃せません。この時計は一体どこの国で生まれどんなブランドなのか。人気2モデルであるアイコンやマスターピースはどのような特徴があるのでしょうか。
また、年齢層としては30代、40代、50代で評価がどう違うのか、気になる資産価値や価格高騰の現状、購入時に知っておくべき並行差別の問題や、正規店の店舗はどこにあるのかなど、疑問は尽きないはずです。
この記事では、モーリスラクロアは本当に恥ずかしい時計なのか、それとも恥ずかしくないのか、という核心に迫ります。そして、モーリスラクロアはこんな方におすすめ、という最終的な結論まで、あらゆる角度から徹底的に解説します。
- 「ダサい」「恥ずかしい」と言われる具体的な理由
- 時計愛好家や芸能人から評価される本当の魅力
- 年齢層やライフスタイルに合わせたモデルの選び方
- 購入前に知るべき資産価値や注意点
当記事で紹介している腕時計一覧
モーリスラクロアは恥ずかしいしダサい?その評判の真相
ダサいと一部で言われる5つの理由とは?
モーリスラクロアの腕時計が、一部で「ダサい」と評価されてしまう背景には、いくつかの複合的な理由が存在します。これらの評価は、時計そのものの品質や性能を直接的に指しているわけではなく、主にブランドイメージや時計市場における独特の立ち位置に起因することが多いようです。
ここでは、なぜそのような声が上がるのか、具体的な5つの理由を深掘りして解説します。
1. 相対的な知名度の低さ
まず最大の理由として挙げられるのが、日本国内における知名度が、他の著名なスイスブランドに比べてまだ十分に浸透していない点です。
例えば、時計に詳しくない人でも名前を知っているロレックスやオメガは、一種の「共通言語」として社会的な認知を得ています。これに対してモーリスラクロアは、時計愛好家の間では知られた存在ですが、一般層にはまだ馴染みが薄いのが実情です。
そのため、友人や同僚に「どこの時計?」と尋ねられた際に説明が必要になったり、ブランド名だけでは価値が伝わりにくかったりする場面があり、それが「ステータス性が低い」「見栄を張れない」といった印象に繋がり、「ダサい」という評価の一因になっていると考えられます。
2. 特定モデルのデザイン類似性
次に、デザインの独自性に関する評価が挙げられます。特にブランドの代表作である「アイコン」シリーズは、ラグジュアリースポーツウォッチ(通称:ラグスポ)というジャンルに属します。
このラグスポのデザインには、伝説的なデザイナー、ジェラルド・ジェンタが確立したとされる「多角形ベゼル」や「ケースと一体化したブレスレット」といった、ある種の「お約束」が存在します。アイコンもこの文法に則っており、先行するオーデマピゲの「ロイヤルオーク」やパテックフィリップの「ノーチラス」とスタイルが似ていると指摘されることがあります。
時計の歴史に詳しい人ほど、この類似性から「ジェネリック」「模倣的」といった厳しい視線を向けることがあり、個性を重んじる層から敬遠される要因となっているようです。
3. 日本人の腕には大きいケースサイズ
三つ目の理由として、ケースサイズの展開がグローバル基準であることが挙げられます。モーリスラクロアの主力モデルには、ケース直径が42mmを超えるものが少なくありません。
これは体格の大きな海外のユーザーには人気のあるサイズですが、比較的手首が細い傾向にある日本人にとっては、時計の主張が強すぎると感じられることがあります。自分の腕の幅に対して時計が大きすぎると、いわゆる「腕時計に着られている」状態に見えてしまい、全体のバランスが崩れて不格好な印象を与えかねません。
近年は日本市場やアジア市場を意識した39mm径のモデルも増えてきましたが、大きめのサイズが主流であるというイメージが、一部で「ダサい」と見なされることに繋がっています。
4. 価格帯が与える「高級感」へのイメージ
比較的手の届きやすい価格設定も、逆説的にネガティブなイメージを生む一因となっています。高級時計といえば数百万円以上という価値観が根強い中で、モーリスラクロアの主力モデルは20万円台から50万円台で購入可能です。
これは、初めて本格的なスイス時計を手にする層にとっては大きな魅力となります。しかし一方で、「絶対的な高級感」や「圧倒的なステータス」を時計に求める層からは、物足りなく「中途半端な価格帯」と見られてしまうことがあります。
品質の高さを知る人にとっては「コストパフォーマンスが高い」と映るものの、価格だけで判断する人からは「安っぽいのでは」という誤解を受けやすいのです。
5. 老舗ブランドと比較した場合の歴史の浅さ
最後に、ブランドの歴史が影響している点です。モーリスラクロアの創業は1975年。これは、ヴァシュロン・コンスタンタン(1755年創業)やパテック・フィリップ(1839年創業)のような200年以上の歴史を持つ老舗ブランドが君臨するスイス時計業界においては、比較的新しい存在です。
時計の世界では、長い歴史の中で培われた伝統や技術の継承がブランドの信頼性や格を形成する重要な要素となります。歴史が浅いことは、一部の伝統を重んじる層から「積み重ねがない」「ブランド哲学が確立されていないのでは」という疑念を抱かせ、敬遠される理由になり得ます。
これらの理由から「ダサい」という声が聞かれることがありますが、いずれもブランドの一側面を切り取った評価に過ぎません。これらの点を理解した上で、次の章で解説するモーリスラクロア本来の魅力に目を向けることで、より公正な判断が可能になるでしょう。
モーリスラクロアの知名度の低さは、一部の人に「ダサい」と誤解される原因です。しかし、実はその価格帯で高品質なスイス時計は他にも存在します。購入を検討する際は、多様な選択肢を比較検討してみることをおすすめします。 ⇒ 10万円台で見つける一生モノのメンズ腕時計選び【2025年厳選】
安っぽいというイメージは本当か?
モーリスラクロアに対して「安っぽい」というイメージを持つ方がいるのは事実ですが、これは多くの場合、実物を見ずに価格帯だけで判断したことによる誤解と言えます。むしろ、モーリスラクロアは同価格帯の他のブランドと比較して、外装のクオリティが非常に高いことで評価されています。
その理由は、ブランドの成り立ちに深く関係しています。モーリスラクロアはもともと、他の高級ブランドの時計ケースを製造する会社を母体としており、金属加工や仕上げに関する高い技術力を持っていました。このノウハウが自社製品にも惜しみなく投入されているため、価格以上の高級感を実現しているのです。
具体例を挙げると、人気モデル「アイコン」の文字盤には、高級時計の伝統的な装飾技法である「クル・ド・パリ」が施されています。これは、小さなピラミッドが連続する美しい模様で、光の角度によって豊かな表情を見せ、時計に立体感と深みを与えます。また、ケースやブレスレットのエッジ(角)はシャープに立てられつつ、肌に触れる部分は丁寧に面取りが施されるなど、細部にまでこだわった仕上げが見られます。サテン(艶消し)仕上げとポリッシュ(鏡面)仕上げを巧みに使い分けることで生まれる光のコントラストは、まさに高級時計の風格を感じさせます。
したがって、「安っぽい」というイメージは、その優れたコストパフォーマンスの裏返しであり、実際の製品に触れれば、価格以上の価値を持つ時計であることが分かるはずです。
どこの国?モーリスラクロアはどんなブランド?
モーリスラクロアは、時計産業の中心地として名高いスイスで生まれた高級時計ブランドです。本社と製造拠点は、スイス北西部のジュラ州、セイネレジェという町にあります。この地域は多くの時計関連企業が集まる、まさにスイス時計の聖地の一つです。
ブランドとしての歴史は1975年に始まりますが、そのルーツはさらに古く、1889年設立のデスコ・フォン・シュルテス社という貿易会社に遡ります。この会社はシルクの貿易から始まり、戦後はアジアへ向けてオーデマピゲやホイヤー(現タグ・ホイヤー)といったスイス製高級時計を輸出する事業で成功を収めました。
転機となったのは1961年。デスコ社がセイネレジェにあった時計部品の製造会社を買収し、時計の自社製造に乗り出したことです。長年にわたり他社ブランド向けの時計や部品を作る中で蓄積されたノウハウと技術力を背景に、1975年、満を持して自社ブランド「モーリスラクロア」を立ち上げました。
現在では、ムーブメント(時計の心臓部)の部品からケースに至るまで、自社で一貫して製造できる「マニュファクチュール」として知られています。
特に、独創的な機構を持つ「マスターピース」コレクションでは、四角い歯車で秒を示す「スクエアホイール」など、他のブランドでは見られないユニークな時計を開発し、その高い技術力を世界に示しています。
伝統的なスイスの時計作りの技術を継承しながらも、常に革新的な挑戦を続ける、実力派ブランドと言えるでしょう。
ーリスラクロアはスイスを代表するブランドです。日本の二大ブランドであるセイコーとシチズンも、それぞれ独自の歴史や強みを持っています。日本の時計ブランドと比較しながら検討したい方は、ぜひこちらの記事をご覧ください。 ⇒ セイコー・シチズンどっちが上?日本の三大時計ブランド比較ガイド
結局恥ずかしい?恥ずかしくない?世間の評価
「モーリスラクロアの腕時計は、結局のところ着けていて恥ずかしいのか?」という疑問に対する答えは、「着ける人の価値観によるが、品質を理解している人にとっては全く恥ずかしくない」と言えます。
世間の評価は、大きく二つに分かれる傾向があります。
一つは、時計にあまり詳しくなく、ブランドの知名度や価格で価値を判断する層からの評価です。この層からは、ロレックスやオメガといった誰もが知るブランドではないため、「聞いたことがない」「ステータス性が低い」と見なされ、「恥ずかしい」と感じられてしまう可能性があります。
一方、時計の品質や作りに目を向ける時計愛好家や専門家からは、全く異なる評価を受けています。彼らにとってモーリスラクロアは、「コストパフォーマンスに優れた実力派ブランド」「知る人ぞ知る通な選択」として認識されています。
価格を抑えながらも、ケースの仕上げやデザインの細部にまでこだわっている点を高く評価しており、むしろ見栄を張らずに本質的な価値で時計を選ぶ姿勢の表れと捉えられます。
つまり、モーリスラクロアは、ブランド名で周囲からの称賛を得たい人には不向きかもしれませんが、自分自身の基準で良い時計を選び、その価値を静かに楽しみたい人にとっては、非常に満足度の高い選択肢となります。
他人の評価を気にするのではなく、自分がその時計のデザインやストーリー、品質に満足できるかどうかが、恥ずかしいと感じるか否かの分かれ目になるでしょう。
正規店の店舗はどこにある?
モーリスラクロアの腕時計を実際に手に取ってみたい場合、正規販売店の店舗は全国の主要都市に展開されています。主に、有名百貨店の時計サロンや、複数の高級時計ブランドを取り扱う正規時計専門店で取り扱いがあります。
具体的な店舗としては、首都圏であれば伊勢丹新宿店や三越日本橋本店、銀座の時計専門店などで見ることができます。関西圏では、阪急うめだ本店や大丸心斎橋店、京都や神戸の百貨店・専門店にもコーナーが設けられています。その他、名古屋、福岡、札幌といった主要都市の百貨店でも取り扱いがあるため、比較的アクセスしやすい場所に店舗が見つかるはずです。
ただし、店舗によっては取り扱っているモデルのラインナップが異なる場合があります。特に、限定モデルや「マスターピース」コレクションの複雑なモデルなどは、限られた店舗でしか見られないこともあります。そのため、お目当てのモデルが決まっている場合は、事前に各店舗へ電話などで在庫状況を確認してから訪問するのが確実です。
また、近くに店舗がない場合や、豊富なラインナップから比較検討したい場合には、モーリスラクロアの公式オンラインブティックを利用するのも一つの方法です。公式サイトでは、最新モデルから限定品まで全てのコレクションを閲覧でき、安心して購入することが可能です。
最新の正規販売店リストについては、モーリスラクロアの日本公式ウェブサイトで確認するのが最も正確な情報を得るための方法です。
知っておきたい並行差別の実態
モーリスラクロアの腕時計を購入する際、特に注意しておきたいのが「並行差別」の存在です。
並行差別とは、正規販売店で購入した「正規品」と、それ以外のルート(海外の正規店や卸業者など)から輸入された「並行輸入品」とで、アフターサービス(修理やオーバーホール)の内容や料金に差を設けることを指します。
モーリスラクロアの場合、この並行差別が存在します。日本の正規サービスセンターであるDKSHジャパン株式会社では、オーバーホールなどのメンテナンスを受け付ける際、基本的には国内正規販売店で購入された保証書がある製品を対象としています。
並行輸入品の場合、店舗によっては受付を断られたり、受付されたとしても正規料金よりも割高な費用が設定されたりすることがあります。正規品であれば受けられる会員価格などの優待も適用されません。これは、ブランドが自社の正規流通網を守り、正規品を購入した顧客へのサービスを手厚くするためのポリシーです。
このため、並行輸入品は正規品に比べて安く購入できる可能性がありますが、その後のメンテナンスコストが高くつくリスクを考慮する必要があります。特に、機械式時計は4~5年に一度の定期的なオーバーホールが不可欠であり、長期的に見るとメンテナンス費用は決して無視できません。
もちろん、優秀な技術を持つ一般の腕時計修理専門店に依頼するという選択肢もあります。修理専門店であれば、正規品・並行輸入品を問わず受け付けてくれることが多く、料金も正規サービスより安価な場合があります。
以上の点を踏まえると、購入時の価格だけでなく、将来的なメンテナンスのことも考え、正規店で購入するか、信頼できる修理専門店を見つけておくか、自身の考えに合った購入ルートを選択することが大切です。
並行輸入品は、購入後のメンテナンスにおいて正規店での修理を断られたり、費用が割高になったりする「並行差別」が存在します。この記事では、並行輸入品の購入を検討する際に知っておくべき情報を解説しています。
⇒ 【重要】ウブロはやめとけの声は本当?その真相と魅力を深掘り解説!
モーリスラクロアおすすめ5モデル
モーリスラクロアは豊富なラインナップが魅力で、多くのユーザーに合ったモデルが見つけられます。
ここでは、特に人気が高く、おすすめの5つのモデルをご紹介します。
アイコン オートマティック(AI6008-SS002-330-1)
「アイコン オートマティック(AI6008-SS002-330-1)」は、モーリスラクロアの人気シリーズ「アイコン」を代表する自動巻きモデルです。
さらに、インターチェンジャブルシステムにより、ストラップの付け替えが可能で、ユーザーのライフスタイルや好みに合わせたアレンジも楽しめます。
この機能性とデザインのバランスから、初めてモーリスラクロアを手にする方や、シンプルで飽きのこない時計を探している方に特におすすめのモデルです。
ポントス S ダイバー(PT6248-SS00L-330-J)
「ポントス S ダイバー(PT6248-SS00L-330-J)」は、ダイバーズウォッチの機能性とエレガンスを見事に融合させたモデルです。
この機能は、ダイビング時のタイム計測だけでなく、日常使いでも実用的です。また、カジュアルでありながらも洗練されたデザインは、スポーツ以外のシーンでもスタイリッシュに使えます。
ラバーストラップやナイロンストラップに簡単に付け替えできるため、アクティブなライフスタイルを持つ方におすすめです。
アイコン スケルトン アーバン トライブ(AI6007-SS009-030-1)
「アイコン スケルトン アーバン トライブ(AI6007-SS009-030-1)」は、内部の精巧なムーブメントが見えるスケルトンデザインが特徴の、限定500本で販売されたコレクター向けのモデルです。
他とは一線を画すデザインが、ファッションにこだわりを持つ方や、時計で個性を表現したい方にぴったり。
また、限定モデルという希少性もあり、コレクターアイテムとしての価値も高く、所有欲を満たす特別な一本です。
マスターピース レトログラード(MP7228-SS001-004-1)
「マスターピース レトログラード(MP7228-SS001-004-1)」は、伝統的なクラシックスタイルと高度な時計技術を融合させた、まさにその名の通りの“マスターピース”です。
また、フォーマルなビジネスシーンや特別なイベントなど、あらゆるシチュエーションにフィットするデザインは、大人の男性に相応しい高級感を持ち合わせています。
伝統を守りながらも革新を取り入れたこのモデルは、クラシックなデザインと最新技術を求める方におすすめです。
アイコン オートマティック リミテッド サマーエディション(AI6008-SS00F-431-C)
「アイコン オートマティック リミテッド サマーエディション(AI6008-SS00F-431-C)」は、ターコイズブルーの鮮やかな文字盤が特徴の、888本限定の特別モデルです。
また、ターコイズブルーのラバーストラップやステンレススチール製のブレスレットを簡単に付け替えられるインターチェンジャブルシステムも搭載しており、気分やシーンに合わせた使い方が可能です。
季節ごとのファッションやスタイルに合わせて時計を楽しみたい方、コレクションとして楽しみたい方に最適なモデルです。
モーリスラクロアが恥ずかしい・ダサいは誤解!本当の魅力
マニアに聞いたモーリスラクロアの魅力3選
モーリスラクロアのは「ダサい」というイメージとは裏腹に、時計を深く知るマニアや愛好家たちがモーリスラクロアに惹かれるのには、明確な理由があります。
ここでは、実際に私の友人であるモーリスラクロアマニアに聞いたモーリスラクロアの魅力を3つに絞ってご紹介します。
1. 価格を大きく超える高品質な外装仕上げ
まず、マニアが口を揃えて賞賛するのが、その価格帯では考えられないほど高品質な外装の仕上げです。前述の通り、モーリスラクロアは高級ブランドの時計ケース製造にルーツを持つため、金属加工と仕上げに関する卓越した技術がブランドのDNAに深く刻み込まれています。
その実力は、特に人気モデル「アイコン」のディテールに顕著に表れています。文字盤に目を向けると、高級時計の伝統技法である「クル・ド・パリ」と呼ばれる、無数の小さなピラミッドが整然と並ぶ装飾が施されています。この微細な凹凸が光を複雑に捉えて豊かな陰影を生み出し、単調な平面にはない、気品ある表情を時計に与えます。
さらに、ケースやブレスレットの作り込みも秀逸です。一つ一つの部品は、角の稜線(エッジ)がくっきりと立つようにシャープに成形されつつ、肌に触れる部分は滑らかに面取りが施されています。また、艶を抑えた「サテン仕上げ」と、鏡のように輝く「ポリッシュ仕上げ」を巧みに使い分けることで、時計全体に美しい立体感とメリハリのある高級感を生み出しているのです。
20万円から30万円台の時計で、これほどの手間をかけた仕上げを実現しているブランドは、他にほとんど類を見ません。この圧倒的なコストパフォーマンスこそが、時計の本質を知る人々を唸らせる第一の魅力です。
2. 独創的で遊び心のある機構
モーリスラクロアが単なる「仕上げの良い時計」で終わらない理由が、ブランドの技術力を象徴する「マスターピース」コレクションに搭載された、独創的な機構の数々です。ムーブメント(時計の心臓部)を自社で一貫して開発・製造できる真の「マニュファクチュール」だからこそ実現できる、遊び心と革新性に満ちた世界観が、時計マニアの探求心を強く刺激します。
その代表格が、常識を覆す「スクエアホイール」です。通常は円運動をする歯車を、半導体の製造にも用いられるLIGA技術という超精密加工技術を駆使して四角形とクローバー形で噛み合わせ、正確に秒を刻むという前代未聞の機構です。また、秒針がまるで文字盤の上を浮遊しながらミステリアスな軌道を描く「ミステリアスセコンド」も、緻密に計算された二重回転軸が織りなす、視覚的な驚きに満ちています。
さらに、ブランドの得意技である「レトログラード」も忘れてはなりません。これは、針が円を描くのではなく、扇状の目盛りを端まで進むと、瞬時に始点までジャンプして戻るというダイナミックな動きが特徴の複雑機構です。
これらのユニークな機構は、時間を知るという実用的な価値を超えて、「精巧な機械を所有し、その動きを愛でる」という、機械式時計ならではの根源的な喜びを提供してくれます。この技術的な挑戦を続ける姿勢こそが、玄人筋から一目置かれる第二の魅力です。
3. 「知る人ぞ知る」絶妙なブランドポジション
そして三つ目の魅力は、その絶妙なブランドポジションにあります。誰もが知るメジャーブランドではないからこそ、所有することに「自分だけの価値基準で選んだ」という深い満足感が得られます。
時計は単なる道具ではなく、持ち主の個性や哲学を反映する自己表現の手段でもあります。多くの人が選ぶ有名ブランドの時計が持つ「記号的な価値」とは異なり、モーリスラクロアを選ぶという行為自体が、流行に流されず本質を見抜く「通」であることの静かな表明となるのです。
例えば、時計好きが集まる場で「その時計、素敵ですね」と声をかけられるのは、定番の高級時計ではなく、むしろこうした玄人好みのブランドであることが少なくありません。その会話をきっかけに、仕上げの良さや機構の面白さについて語り合うのも、時計趣味の醍醐味の一つです。
「知名度が低い」という事実は、見方を変えれば「過度な広告宣伝費をかけず、その分を製品の品質向上に注ぎ込んでいる実直なブランド」というポジティブなストーリーにもなります。
ステータスを声高に主張するのではなく、自分のスタイルの中にさりげなくこだわりを溶け込ませたい。そう考える人にとって、この「知る人ぞ知る」という立ち位置は、何物にも代えがたい魅力として映るのです。
モーリスラクロアの魅力の一つである「価格を大きく超える高品質な外装仕上げ」は、多くの高級時計にも共通する価値です。本記事では、後悔しない高級時計の選び方を解説しており、検討中のあなたの参考になるでしょう。
⇒ 買ってはいけない高級時計ブランドとは?専門家が選ぶ失敗しない選び方
人気2モデルはアイコンとマスターピース
モーリスラクロアの多彩なコレクションの中でも、現在のブランド人気を牽引しているのが「アイコン(Aikon)」と「マスターピース(Masterpiece)」という2つのシリーズです。
この2つは対照的な特徴を持っており、ブランドの二面性を象徴しています。
特徴 | アイコン (Aikon) | マスターピース (Masterpiece) |
コンセプト | 現代的なラグジュアリースポーツ | 独創的な複雑機構と伝統技術の融合 |
デザイン | 6つの爪を持つベゼル、一体型ブレスレット | スケルトン、レトログラードなど多様で芸術的 |
主な価格帯 | 20万円~50万円台 | 50万円~100万円以上 |
おすすめの層 | 初めての高級時計、汎用性を求める方 | 時計の機構美を楽しみたい、個性的な一本を求める方 |
アイコン (Aikon) – 時代が求める万能ラグジュアリースポーツ
「アイコン」は、2016年の登場以来、瞬く間にブランドを代表するコレクションへと成長しました。そのルーツは1990年代に人気を博した「カリプソ」というモデルにあり、その特徴的なデザインDNAを受け継ぎながら、現代のトレンドであるラグジュアリースポーツウォッチとして大胆に再解釈されたものです。
デザインの核となっているのが、ベゼルに配置された6つの爪(アーム)です。これは単なる装飾ではなく、ベゼルを力強く掴むような立体的な造形が、アイコンの力強い個性を決定づけています。また、ケースからブレスレットへと流れるように繋がる一体型デザインは、腕へのフィット感を高めると同時に、洗練された都会的なシルエットを生み出しています。
しかしアイコンの魅力は、デザインだけに留まりません。多くのモデルで200m防水という、本格的なダイバーズウォッチに匹敵するほどの高い防水性能を備えています。これにより、突然の雨や水仕事はもちろん、週末のアクティブなレジャーまで、シーンを問わず安心して使える高い実用性を誇ります。
さらに、工具なしでブレスレットやストラップを簡単に交換できる「イージーチェンジャブルシステム」も搭載。平日はブレスレットで精悍なビジネススタイルを演出し、休日はラバーストラップに付け替えてカジュアルダウンするなど、一本で様々な表情を楽しめるのも大きな魅力です。
クォーツ、自動巻き、クロノグラフ、スケルトン、さらには海洋廃棄プラスチックをアップサイクルした「#tide」モデルまで、豊富なバリエーションが揃っており、幅広いニーズと予算に応えてくれる、まさに現代の万能ウォッチと言えるでしょう。
モーリスラクロアのアイコンモデルについてもっと詳しく知りたいかたは、アイコンに特化して詳しく解説している記事もありますので、併せてお読みください。
⇒徹底レビュー!モーリスラクロア アイコンの評価は?39mmと42mmの比較も
マスターピース (Masterpiece) – 技術と芸術が融合した「傑作」
一方の「マスターピース」は、その名の通りモーリスラクロアの技術の粋と創造性のすべてを注ぎ込んだ「傑作」コレクションです。ここはブランドにとっての「実験室」であり、時計作りの常識に挑む「ショーケース」でもあります。
このコレクションの真骨頂は、他では決して見ることのできない独創的な複雑機構にあります。時計の心臓部であるムーブメントの骨格を極限まで削ぎ落とし、歯車の連なりをアートのように見せる「スケルトン」。針が終点に達すると瞬時に始点へ帰るダイナミックな動きが魅力の「レトログラード」。そして、常識を覆す四角い歯車が時を刻む「スクエアホイール」など、いずれもモーリスラクロアが自社でムーブメントを開発できる真のマニュファクチュールであることの力強い証明です。
マスターピースを所有することは、単に時間を知るための道具を手に入れることではありません。それは、スイスの伝統技術と革新的なアイデアが融合した「時間を鑑賞するための芸術品」を所有することを意味します。
価格帯はアイコンよりも上がりますが、同等の複雑機構を備えた他のハイブランドのモデルと比較すれば、依然として驚くべきコストパフォーマンスを維持しています。時計の奥深い仕組みや機械の美しさを心から楽しみたいと願う、真の時計愛好家から絶大な支持を得ているコレクションです。
このように、「アイコン」が市場のニーズに応えるブランドの外面的な顔だとすれば、「マスターピース」はブランドの技術的な探求心を示す内面的な魂と言えます。この両輪が存在することで、モーリスラクロアは多様な魅力を持つブランドとして確立されているのです。
アイコンは「現代的なラグジュアリースポーツ」として、そのデザインがロイヤルオークに似ていると指摘されることがあります。オーデマピゲのロイヤルオークについて詳しく知りたい方は、こちらの記事がおすすめです。
⇒ オーデマピゲ『ロイヤルオーク』予約待ちの最新動向!入手法の極意!
当記事で紹介している腕時計一覧
愛用している芸能人を一挙紹介
モーリスラクロアが持つスタイリッシュな魅力は、ファッション感度の高い多くの芸能人からも支持されています。彼らがプライベートやメディアで着用している姿は、ブランドの信頼性とデザイン性の高さを物語っています。
木村拓哉さん
国内で特に有名なのが、俳優の木村拓哉さんです。「アイコン スケルトン アーバン トライブ」という、ケース全体に都会的なエングレービング(彫刻)が施された非常に個性的な限定モデルを愛用していることで知られています。この一本を選ぶセンスからは、トレンドを牽引する彼のこだわりがうかがえます。
鈴木亮平さん、玉山鉄二さん
また、実力派俳優の鈴木亮平さんは、爽やかなブルー文字盤の「アイコン オートマティック」を着用。知的で誠実な彼のイメージに、洗練されたデザインが非常にマッチしています。同じく俳優の玉山鉄二さんは、よりクラシカルで格式の高い「マスターピース」のムーンフェイズモデルを選んでおり、大人の落ち着いた魅力を引き立てています。
福士蒼汰さん、松田翔太さん
若手俳優の福士蒼汰さんはメカニカルな「アイコン オートマティック スケルトン」を、独自のスタイルを持つ松田翔太さんは芸術性の高い「マスターピース」のレトログラードモデルを愛用するなど、世代や個性に合わせたモデルが選ばれているのも特徴的です。
海外の愛用者
海外に目を向けても、過去にはテニス界のレジェンドであるロジャー・フェデラー選手や、Wikipediaの創設者であるジミー・ウェールズ氏がアンバサダーを務めるなど、その分野の第一線で活躍する人物に選ばれてきました。
これらの着用例は、モーリスラクロアが決して「恥ずかしい」時計ではなく、むしろ確かな審美眼を持つ人々から選ばれる、魅力的なブランドであることを証明しています。
モーリスラクロアを愛用する芸能人は、その時計の魅力を世間に伝える役割を果たしています。国内外を問わず愛用者が多数いることで有名なブランドです。日本国内6名、国外13名を網羅した記事を読みたい方はこちらも。
⇒ モーリスラクロア愛用の芸能人19選!国内・海外の着用モデルを解説
年齢層は30代・40代・50代が中心
モーリスラクロアは、特定の世代に限定されることなく、幅広い年齢層に受け入れられる柔軟性を持っていますが、特に中心となるユーザー層は30代、40代、50代と言えます。
30代のユーザー
30代は、社会人として経験を積み、初めて本格的な機械式時計の購入を検討する方が多い年代です。この層には、ビジネスでもプライベートでも通用する汎用性と、価格以上の高級感を兼ね備えた「アイコン オートマチック」が絶大な人気を誇ります。
「いかにも」な高級ブランドは気恥ずかしいけれど、質の良いものを身に着けたいという、30代の価値観にぴったりと合うのです。
40代のユーザー
40代になると、時計に対する知識やこだわりが深まり、より個性や品質を重視するようになります。モーリスラクロアの優れた外装仕上げや、他とは違うデザインに価値を見出し、2本目、3本目の時計として選ぶ方が増えてきます。
また、技術力の結晶である「マスターピース」コレクションに興味を持つ層もこの年代から多くなり、自分だけのこだわりを表現するアイテムとして楽しまれています。
モーリスラクロアは30代を中心に幅広い年齢層に支持されています。30代に合う時計を探している場合は、この記事を参考にすることで、ご自身のスタイルに合う時計を見つけることができるでしょう。
⇒ センスのいい時計を探す男性30代におすすめ12モデルを紹介!
50代以上のユーザー
50代以上の経験豊富な世代からは、モーリスラクロアの「通好み」な点が評価されます。長年の時計趣味の中で多くのブランドを見てきた結果、そのコストパフォーマンスの高さや、誠実な時計作りの姿勢に共感し、最終的にモーリスラクロアにたどり着くというケースも少なくありません。
落ち着いたデザインのクラシックなモデルや、遊び心のある複雑機構モデルなど、大人の余裕を感じさせる一本として愛用されています。
このように、モーリスラクロアは年齢を重ねるごとに、その時々のライフステージや価値観に合った魅力を提供してくれるブランドなのです。
資産価値は?一部モデルは価格高騰中
モーリスラクロアの腕時計を検討する上で、資産価値がどうなのかは気になるポイントの一つです。
正直に言うと、ロレックスのように購入価格を上回るような高いリセールバリュー(再販価値)は、ほとんどのモデルで期待するのは難しいのが現状です。基本的には、購入して楽しむ実用時計として捉えるのが適切でしょう。
ただ、これはモーリスラクロアに限った話ではなく、同価格帯の多くのブランドに共通する傾向です。資産価値を最優先するなら、選択肢はごく一部のブランドに限られてしまいます。
しかし、近年モーリスラクロアの評価には変化の兆しが見られます。特に「アイコン」シリーズの世界的な人気により、状況が変わりつつあります。その中でも、生産本数が限られている限定モデルは、中古市場で定価に近い価格、あるいはそれを上回る価格で取引されるケースが出てきました。
その代表例が、木村拓哉さんも愛用する「アイコン スケルトン アーバン トライブ」です。世界限定500本という希少性から、市場に出回ることが少なく、コレクターズアイテムとして価格が高騰しています。また、鮮やかなカラーリングで話題となった「サマーエディション」などの限定モデルも、中古市場で安定した人気を保っています。
これらのことから、モーリスラクロアの資産価値は全体としては限定的であるものの、「人気シリーズの限定モデル」に絞れば、将来的に価値が上がる可能性も秘めていると言えます。
とはいえ、基本的には資産価値を過度に期待するのではなく、そのデザインや品質を日々楽しむための時計として購入するのが、最も満足度の高い選択となるでしょう。
モーリスラクロアの資産価値は限定的ですが、リセールバリューが高い高級時計も存在します。グランドセイコーの資産価値について、人気モデルのリセール率も交えながら詳しく解説している記事です。
⇒ グランドセイコーの資産価値は?人気モデルとリセール率を徹底解説
モーリスラクロアはこんな方におすすめ
これまで解説してきた特徴を踏まえると、モーリスラクロアの腕時計は、次のような価値観やニーズを持つ方に特におすすめできます。
自分が該当するかじっくり確かめてください!
見栄やブランド名よりも品質を重視する方
「誰が見てもわかる高級時計」でステータスをアピールすることよりも、時計本来の作り込みの良さや仕上げの美しさに価値を見出す方には最適です。
モーリスラクロアは、価格以上の品質を実感できるため、本質を重視する姿勢に合致します。
コストパフォーマンスを賢く求める方
限られた予算の中で、最大限に満足度の高いスイス製機械式時計を手に入れたいと考えている方にとって、モーリスラクロアは非常に賢い選択肢となります。同等のスペックや仕上げを持つ他のブランドよりも、明らかに手の届きやすい価格設定は大きな魅力です。
他の人とは違う、個性的な一本を探している方
人気ブランドの定番モデルは、街中で着けている人を見かけることも多くあります。その点、モーリスラクロアはまだ「知る人ぞ知る」存在であり、人と被る可能性が低いのが特徴です。
さりげなく自分のこだわりやセンスを表現したい方には、ぴったりのブランドと言えます。
オンオフ問わず使える万能な時計が欲しい方
特に「アイコン」シリーズは、スーツスタイルからカジュアルなTシャツスタイルまで、どんな服装にも合わせやすい万能性を持っています。一本の時計を様々なシーンで着けこなしたい、という現代のライフスタイルに非常にマッチします。
これらの点に共感できるのであれば、あなたはモーリスラクロアの時計を心から楽しみ、長く愛用することができるはずです。
まとめ:モーリスラクロアは恥ずかしいしダサいのか?
この記事で解説してきたモーリスラクロアに関する情報を、最後に箇条書きでまとめます。
- モーリスラクロアが「ダサい」「恥ずかしい」と言われる主な理由は、知名度の低さやデザインの印象に起因する
- しかし、その評価は多くがブランドの表面的なイメージに基づく誤解である
- 実際には、価格を大きく超える高品質な外装仕上げで時計愛好家から高く評価されている
- ケース製造にルーツを持つため、金属加工の技術力が非常に高い
- スイス・セイネレジェを拠点とする、れっきとしたマニュファクチュール(自社一貫製造)ブランド
- ブランドの人気を牽引するのは「アイコン」と「マスターピース」の2大コレクション
- 「アイコン」は現代的なラグジュアリースポーツウォッチで、汎用性が高い
- 「マスターピース」は独創的な複雑機構を搭載し、ブランドの技術力を象徴する
- 木村拓哉さん、鈴木亮平さんなど、国内外の多くの芸能人や著名人に愛用されている
- 中心となる年齢層は30代から50代だが、20代の入門機としても人気がある
- 一般的なモデルの資産価値は限定的だが、一部の限定モデルは価格が高騰している
- 購入後のメンテナンスでは、並行輸入品だと不利になる「並行差別」が存在する点に注意が必要
- 見栄より品質、コストパフォーマンス、個性を重視する人には最適な選択肢
- オンオフ問わず使える万能な一本を探している人にも強くおすすめできる
- 最終的に、他人の評価ではなく、自分がその価値に満足できるかが最も重要
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